吉田建築計画事務所

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伝統のしつらえと、モダンライフの融合

 母屋は20年以上使用されずにいたこともあり、老朽化していましたが、お母様が毎日、戸の開け閉めをしていたことや、しっかりとした構造だったこともあり、震災での影響はわずかしか見られませんでした。また、建築当時の職人の緻密な仕事ぶり、吟味された良材が使用されていたことが各所に見られ、小屋組みもさることながら、特に仕口の納まりは、担当した大工さんも驚くほどの巧妙さでした。

これからの生活へ求めること

 施主からの要望は、民家の大切な特徴を残しつつ、明るく、風通しの良い室内環境、機能的で快適な暮らし、インフラの充実、耐震補強、高齢のお母様の為にバリアフリー、また、ご夫妻がヨーロッパ在住時に購入された、アンティーク家具と部屋とのコーディネイト等を希望されました。今回の再生では、南側に当たる土間、座敷、奥座敷の間取りは復元し、北側に当たる部分の間取りは大きく変化させました。部屋の通風、採光を確保する為に、吹抜け空間及び北側に大きな開口を設け、また、機能的な家事動線を考えて浴室を建物中央へ設け、キッチン、洗面、浴室と動線を直線でまとめました。

其々の居場所

 これまで台所だった部屋をお母様の趣味である、野菜作りと、その野菜で漬物をつくる部屋にするなど、家族が思い思いに過ごせる居場所づくりも、大切な設計テーマでした。1階に漬物部屋、奥様の書斎、2階は完全なプライベートな空間とし、小屋裏にもトイレを設ける等、隠れ家的な魅力ある空間となりました。  耐震性については基礎はベタ基礎とし、土台、足固めを回しました、耐震壁は新築同等の壁量を確保しました。  外観は創建当時の特徴は残しつつ、幾分かモダンなデザインも取り入れましたが、なるべく違和感の無いようにディテールに配慮し、日本の農村らしい情景を、将来へ繫げていくことを念頭に置きました。

人と技をつなぐ

 今回、施工を担当した棟梁の生天目氏は、高い大工技術と気概をもって施工をしてくれました。また、瓦工事、左官工事、建具工事、家具工事その他の職人も、棟梁同様に非常に高い技術で支えてくれました。改めて日本の伝統技術の素晴らしさを再認識したと同時に、後継者育成が急務になりつつあることを感じた現場でした。

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