青木茂建築工房

青木茂建築工房

青木茂建築工房
青木茂建築工房
「送信」ボタンをクリックすると、プライバシーポリシーを読み、上記に記入した情報が私の要求のために処理されることに同意します。
注: privacy@homify.com にメールを送ることで、この同意を取り消せます。
送信!
専門家の方が返信をします。しばらくお待ちください!

YS BLD.

伊皿子坂にある築40年の小さなビルは、過去を消されたかのように建物の履歴が存在しなかった。今回の再生計画により検査済証を取得することができなければ、売買契約を解約することを条件に建物の調査を行った。調査の結果、この小さなビルが再生できることを確認し、自らが事業者となり計画を進めた。計画を進めるための設計図は一切存在せず、既存建物の構造図、計算書等がないために安全の確認はできなかった。基礎を含む躯体の調査や把握を行い、構造図および意匠図を復元した。この復元図を基にして、既存の四本柱の単純ラーメンに対して、耐震壁を設置する方法を選択した。南側は開口を必要とするため袖壁を設け、その他の面は耐震壁を設置した。また、エレベーターを設置するためのシャフトをコンクリートで設置したが、これも耐震要素とした。これらの計画をもとに構造計算を行い、耐震改修促進法に基づく耐震評定を取得したうえで、確認申請を提出した。また、既存ストックにおける環境配慮型建築への転換も試みた。快適性の向上のためにメゾネット住宅を利用した自然通風利用、外断熱と内断熱の両方を行う断熱改修、屋上緑化による遮熱効果を狙った省エネルギー対策などを取り入れ、環境配慮を行った。さらに、コンクリートの中性化抑制を目的として、仕上げ材により躯体をサンドイッチしたが、目的以外の効果として、外気温と湿度の影響を受けない調整機能が働き、快適な住空間となった。また、耐震を目的とした既存構造物の診断と補強設計および改修工事の助成を中心に、省エネを目的とした発電効率のよい給湯方式であるエコキュートの採用、太陽熱の高反射塗料、さらに地域環境保全を目的とした屋上緑化、雨水流水などの東京都港区における助成制度を利用した。その結果、工事額の約12%を行政よる助成でまかなうことができた。検査済証も図面も構造計算書も存在しない、不動産的価値が事実上ないこの小さなビルは、新たに検査済証を取得し、再生されたことにより不動産価値を生み出した。賃貸部分は竣工と同時に借り手がつき、現在、事前の事業収支計画の通りの返済が行われている。新たな都市住宅の再生モデルを生みだすことができた。

Admin-Area