東京郊外の高齢者が増加する住宅地に位置する診療所の計画。
このクリニックでは、今までの病院のイメージとは異なる、この地域に開けたクリニックをつくるというのがテーマであった。
そこで、〝大きな家″のような切妻型が連続する屋根はエントランスでは高さを抑え、徐々に高くなっていくことで、周辺環境への圧迫感を減じつつ、地域住民が親しみやすく訪れる広々とした空間をつくり出した。
隣地建物が近接する環境の中で、L字型のボリュームの内側に待合スペースとなるラウンジを配置し、そこに〝凹み″をつくり、隣地からの視線は遮りつつ光や景色を取り込み、閉じながらも開いた環境をつくり出す。
凹みから生まれた屋根や壁のずれは空間を緩く分節し、高さが変化しながら連続する多様な空間の中で、クリニックを訪れた人々は個々に心地の良い居場所を探し出す。
診療所という枠組みを超えて、この地域の新たな拠点となる場を提案する。
用途 : 診療所
敷地面積: 333.48m2
建築面積: 200.05 m2
延床面積: 310.19 m2
建蔽率 : 59.99%(許容60%)
容積率 : 93.02%(許容200%)
階数 : 地上2階
階高 : 1F 3.45m 2F 3.05m
最高高さ : 9.750m
構造: 壁式RC造
設計監理 : hkl studio
設計協力 : 木下道郎/ワークショップ
構造設計 : 構造計画プラス・ワン
設備設計 : 酒巻設備設計事務所
施工: 辰
ファサードデザイン協力: 四方謙一
サイン : TOKOLO.COM 野老朝雄 BANANA DESIGN 三木崇史
アートワーク : TOKOLO.COM 野老朝雄
カーテン : NUNO
撮影:平賀哲