松島潤平建築設計事務所 / JP architects

松島潤平建築設計事務所 / JP architects

松島潤平建築設計事務所 / JP architects
松島潤平建築設計事務所 / JP architects
「送信」ボタンをクリックすると、プライバシーポリシーを読み、上記に記入した情報が私の要求のために処理されることに同意します。
注: privacy@homify.com にメールを送ることで、この同意を取り消せます。
送信!
専門家の方が返信をします。しばらくお待ちください!

Qilin

700㎡を超える旗竿地に建つグラフィックデザイナーのための住宅。

南側には竹林が生い茂り、どこまでが敷地かよくわからない。旗竿ながら袋地の閉塞感などまったくなく、旗竿だからこそ、アプローチからは想像もつかない驚きの拡がりを持つ豊かな土地であった。ここに大らかな平屋を建てても、その数倍の面積の庭が同時に生まれる。ゆえに建築が敷地を削る感覚など生まれ得ず、①:南側への増築余地、②:増築工事のための接道と工事搬入路、③:余裕ある歩車アプローチ、④:設備機器スペースと回遊動線、⑤:リビングから手の届く南側の庭、⑥:屋根掛かりのガレージ、といった要素から、むしろ建築が敷地から削り出されてきた。

さて、こうしてできる平面形状を眺めると、南側に首を伸ばしたキリンの立ち姿に似ていた。ので、キリンについて調べてみた。彼らはあの長い首を成立させるために頸骨1つ1つを無理矢理引き伸ばし、それを支える筋肉をもりもり発達させ、心臓から2m上の脳まで血液を押し上げるべく、全動物中最も高い血圧を持つ。更には首を振り回したときの急激な血圧差を吸収するために「ワンダーネット」という網目状の毛細血管が後頭部に張り巡らされている。そして、そんな見事な構造設計・設備設計によって実現された異形の体を覆うまだらのテクスチャは、「捕食者の個体認識を鈍らせるため」とある。この思わず笑ってしまうようなマッピング装備がとても興味深い。「高い所の葉を誰にも邪魔されずに食べる」という些細な独占欲を満たす型を作り、表層の化粧がそれを打ち消そうとする。生きるための型と、生きるためには見えすぎてしまうその輪郭をぼやかす意図が一個体に内在された状態。

施主は「身体のためよりも、視覚のための、グラフィクとしての住宅を作りたい。」と言った。なるほど、キリンのようにこの住宅も、敷地から削り出された建物の支配的な輪郭を、特別な視覚環境のための素養としたい。そんな思いから、建物の図式にモザイクを掛けるようなテクスチャのあり方をともに模索した結果、ラワン合板を150mm幅に割き、ロット違いによる色の暴れをごちゃまぜにしながらホワイトワックスでわずかにトーンを整えつつ乱尺張で壁を覆った。また、4種類の勾配の屋根をちぐはぐに掛けることで、ワンルームの平面に対して緩やかな領域差を作り、稜線の隙間から様々な方向の光を取り入れた。一筆描きで連続する壁のモザイクパタンは、時間帯、天気、季節による光で刻々と変化しながら、大きな庭の緑とともに豊かな色彩の視覚世界を作り出している。

Admin-Area