筒井紀博空間工房/KIHAKU tsutsui TOPOS studio

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metis

1848年に発見された巨大な小惑星「metis」をモチーフとした住宅。

この小惑星は不規則な外観をしていながらも、太陽のまわりを3.69年という周期で規則的に回っている。
相反する不規則性と規則性、この対比を住空間に多数仕掛け、人のもつ既成概念に刺激を与える。その時、人々が改めて自分と向き合い、自身の内面にまで浸透する心地よさを再認識するよう心がけた。

敷地は都内の閑静な住宅街に位置する角地。周辺には立派な樹木も多く、限られた敷地面積の中で恵まれた周辺環境を取り入れつつ、周囲との調和も意識している。
28坪の敷地に地下1階、地上2階の空間構成。地下へも自然光を取り入れるべく、スキップフロアの構成とし、上下方向の移動もストレスを感じさせない工夫を施した。
最上階には人が多く集うリビング。現代の木造技術を駆使した大屋根によって複雑な天井形状を実現し、大空間を演出している。 光と影、有機と無機、柔軟と堅硬、天と地、太古と未来、ミクロとマクロ・・・これらの対比も空間の中にちりばめた。
ダイニングには2.4mあるブラックウォールナットの無垢一枚板を利用したダイニングテーブルが用意され、その脚は無垢板とは相反するスチールの無機質なデザインとしている。
フローリングはオークを薫製させ、色に深みを出している。さらにその製造過程で割れが生じ、その割れた部分にシルバー色の樹脂を注入。ここでも自然素材と人工素材の対比を用いている。

また、恵まれた周辺環境を取り入れるべく、適材適所に開口部を適材適所に設け、印象的な光の演出がされている。さらに春には隣地に植えられた立派なヤマザクラ、秋は敷地内と隣地に植えられている紅葉、ハイサイドライトやトップライトから空や月、バルコニーには屋上緑化スペースも設けられ、季節のハーブ類を植えることにより、春夏秋冬、昼夜を問わず自然を楽しむことができる。

趣味のダンスを楽しむためのスタジオを地下に配し、スキップフロアで5層の床レベル構成とすることにより、地下にも自然光がふりそそぐ。スタジオ横にはヒメシャラの植わる坪庭とデッキが用意されており、夏でも涼しく屋外空間を満喫できる。
床材はヒールのある靴で踊ることが可能な堅い竹フローリングを使用。また、地下空間特有の湿度の問題にはホタテ貝の貝殻を利用した塗料を使用し、調湿効果をもたらしてくれる。

これらの多くの対比によって個人が自らを見返り、快適な空間を再認識する建築である。 

種別:新築

用途:専用住宅 

規模:地下1階地上2階

延床面積:124㎡ 

構造:混構造 

所在地:東京 

竣工日:2011年

photo:KATSUHISA KIDA/FOTOTECA

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