川口孝男建築設計事務所

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熱海・伊豆山の家

相模灘が一望できる、熱海伊豆山の高台に計画された住宅である。建主ご夫妻はお二人とも都内の大学で教鞭をとられており、当面は週末利用がメインとなるものの、将来的な定住も見据えた住環境づくりを行った。ご夫婦二人(+猫一匹)の生活空間としてはかなり広めのLDKをメインフロアーである2階に置き、人を招いても余裕のある空間でゆったりとした時間を過ごし、熱海の海・山・街並みへの眺望を存分に堪能できる広間として計画している。

約30畳の広間を中央で微妙に角度(15度)を振り、ワイドフロンテージの部屋から変化のある風景を楽しめるようにしている。西側に配した吹抜のリビングからは申し分の無いオーシャンビューを、東側のダイニングからは熱海湾や錦ヶ浦からつづく山並みをそれぞれ風景の主役となるように角度と窓の構成を考えた。

建主は都内と熱海という環境の異なる2つの生活拠点を持つ、いわゆるデュアルハビテーションとなる。熱海での日々は、都内の生活とは趣を一変させ、多様で豊かなものとなるような空間のあり方について多くのディスカッションを交わした。特に、大きな空間である広間(LDK)の魅力を十分に引き出し、居心地の良いものとするためには、いくつかの小さな空間との関係・繋がりが重要と考え、スタディを重ねた。

吹抜に面するソファーコーナーや読書コーナーはあえて天井高や奥行きを抑え、広間とは対比的な空間ボリュームとしている。また、客間としても使われる3階の和室は、引戸をすべて引き込むことで広間と一体的な繋がりをもつことができるようにしている。視覚的、空間的な伸縮性を備えたつくりとし、4畳半であっても狭さを感じさせない工夫を試みている。

このようにひとつの空間がシンプルな箱で完結しないように、ボリュームや性格の違うものを併存させ、質の違う居心地を共存させることで、空間を豊かにしようと考えた。

外部においては、高低差の大きい敷地条件を生かすように、各階に個性的なテラスを設けている。風景の見え方を意識してそれぞれの広さ・仕上を違うものとし、将来大きくなる様々な植栽とともに外部空間が楽しくなるように考えた。

内・外観、外構を通してこの住宅には、素材や仕上、ディテールに特別な表現は用いていない。馴染みやすく、柔らかいテクシュチュアやシンプルな納まりを丁寧に繰り返したのみである。というのもここでは、水平線から昇る朝日に始まり、月光に照らされる海と山の中腹まで伸びる街の灯りが美しい一面の夜景に至るまで、一日の景色の移ろいが圧倒的な魅力をもっている。こういった場のポテンシャルの高さに対しては、建築は強い表現ではなく、風景を取り込み、調和・融合するような「受けの建築」としてデザインすることが重要と考えたためである。

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