一級建築士事務所ささりな計画工房が手掛けた今井町の町家(母屋:改修、はなれ:増築) | homify
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今井町の町家(母屋:改修、はなれ:増築)

今回、改修を行った町家は伝統的建造物群保存地区(伝建地区)内にある元2軒長屋の南側で、庇つきの《つし2 階》で平入りということなどから、明治初期以前の建物であると推定されています。

昭和20 年代にお施主さまの親戚筋が住居として購入し古物商を営んでおられたそうです。昭和53 年にはお施主さまのお父さまが土地・建物を購入して住居兼繊維加工場として利用されていましたが、最近では空き家となっていました。

長屋の北半分は、住人による先の改修の際に構造的に分離され、独立した建物となっていました。

今回の改修の目的は、町家が持つ特性を理解し、その良さを継承・発展させる一方で、現代の生活様式における不便さを新たな技術でもって解消することにありました。具体的には、

・耐震性能の確保(伝統構法に対応した耐震補強)

・住環境(温湿度の調整)、通風の確保

・文化財価値の維持保存

・近隣や街区との関係性の維持

・伝統的工法を広げるシステムの構築

を改修方針としました。

また、文化財を保全し継承する上で課題とされる下記の3点についても対応しました。

【法令による制約】

伝建地区に指定されている今井町では、歴史的建造物を修理する際に建築基準法の適合が困難な場合に備えて、現行の法規制を緩和できる『今井町緩和条例』というものがあります。法令上の制約は、このような緩和措置の活用も含めて行政と協議を行い、助言を受けながら、必要な手続きを進めていきました。

【資金調達】

今回の改修では、補助金制度の活用を積極的に検討し、伝建地区内で利用可能な『歴史的建造物の修理』に対して交付される補助金制度の他、広く一般住宅でも利用可能な『省エネルギー改修』や『奈良県産の木材利用』などに対して交付される補助金制度も利用することにより、建物の性能向上と工事費用負担の軽減を図りました。

【修理技術】

今回は、新築ではなく改修であること、近年一般的になっている『在来軸組構法』ではなく『伝統構法』であること、大工工事や左官工事などに昔ながらの工法を採用する部分が多いことなどから、経験豊富な職人さん達によって工事が行われました。

これらの様子は写真や紙面上に記録として残すほか、伝統技術の継承という意味合いから、構造見学会や工事体験会、完成披露見学会なども開催しました。

規模
8.9 × 6.1 × 5.9 m / 67.8 ㎡ (全長, 高さ, 幅 / 面積)
  • 主屋:外観(全景) クラシカルな 家 の 一級建築士事務所ささりな計画工房 クラシック 無垢材 多色

    主屋:外観(全景)

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    アイディアブック: 2
    ["KR"] [Published] 전통 거리의 풍경과 추억을 되살려낸 리모델링
    ["JP"] [Published] 奈良県の伝統的な街並みと記憶を復元した町家リフォーム

    『履歴を調査の上、原則として現状維持又は然るべき旧状に復原すること』

    伝建地区内で《伝統的建造物》に指定されている建物を修理するときの基準は冒頭の一文に尽きます。対象となる部分は『通りに面した外観』『屋根面』『柱や梁などの構造材』です。これらは伝建地区の保存計画の中で明文化されており、改修設計・工事に対する補助金が交付されるか否かにも関わってきます。

    改修設計を行う前の実測調査では、現況把握のほか、建設当初の姿や改修の履歴をある程度知ることができました。建物に残る痕跡だけで判断できない部分については、過去の文献資料を探したり、聴き取り調査を行うことで補いました。

    今回の改修設計では、修理後の外観を検討するにあたり、写真左側の隣戸とかつては2軒長屋であったことも考慮する必要がありました。

    また、通りに面して屋外に露出していたメーター類や配管・配線は、改修の際に玄関右脇にメーターボックスを設け、まとめて屋内化しています。

  • 主屋:外観(正面) クラシカルな 家 の 一級建築士事務所ささりな計画工房 クラシック 無垢材 多色

    主屋:外観(正面)

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    アイディアブック: 1
    ["JP"] [Published] 奈良県の伝統的な街並みと記憶を復元した町家リフォーム

    歴史ある町の歴史ある建物だからこそ、その地域特有の建物のしつらえというものがあります。

    「格子の本数は奇数が基本」「塗る場所によって漆喰材料の調合や糊の種類が違う」「軒先瓦の巴の周りにある丸の数などはその建物の格をあらわす」など、職人さんや今井町にお住いの方などにたくさんのことを教えて戴きました。

  • 主屋:リビング・ダイニング モダンデザインの リビング の 一級建築士事務所ささりな計画工房 モダン 無垢材 多色

    主屋:リビング・ダイニング

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    ["JP"] [Published] 柾目がつくり出す木材の魅力とその特徴
    ["KR"] [Published] 전통 거리의 풍경과 추억을 되살려낸 리모델링
    ["JP"] [Published] 奈良県の伝統的な街並みと記憶を復元した町家リフォーム

    断熱性能を確保した上で、間仕切壁や扉を極力なくして屋内を広く見せると共に、町家の特徴を活かして採光と通風経路を確保し、杉フローリングの肌触りの良さを感じられる床暖房を採用しています。

    また、主屋建物の奥行き方向の外壁とその柱に傾きがあったため、日常生活で平衡感覚などに支障を来さぬよう、1階の外壁部分に新たな壁を造り、壁面収納などを設けました(黒い柱・梁は古材)。

    その他、杉フローリング材(床・勾配天井)の木目や色合いを引き立てるため、金属製品は無垢材や古材の類似色を採用し、造作家具の表面(メラミン化粧板など:ヒノキ柾目柄)は色の濃淡に留意しました。

  • 主屋:リビング・ダイニングの吹き抜け モダンデザインの リビング の 一級建築士事務所ささりな計画工房 モダン 無垢材 多色

    主屋:リビング・ダイニングの吹き抜け

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    ["KR"] [Published] 전통 거리의 풍경과 추억을 되살려낸 리모델링
    ["JP"] [Published] 奈良県の伝統的な街並みと記憶を復元した町家リフォーム

    今回の改修工事では、町家の良さの継承・発展を考える一環として『省エネで身体に優しい住環境づくり』にも取り組みました。具体的には、昔の台所の換気口である《煙出し》らしき形跡を《天窓》に読み替え、《うなぎの寝床》とも言われる町家の特徴である《中庭》などを活かして採光と通風経路を確保しています。そして、屋根・天井、外壁、床下には断熱材を入れ、複層ガラスのサッシを採用することで現在の省エネ基準に適合した断熱性能などを確保し、ガス発電・給湯暖房システム(エコウィル)を導入することで、温水式床暖房(+エアコン冷房)と天井扇を組み合わせた空気の循環で緩やかに空調することにしました。

    また、環境負荷低減なども意識して、奈良県産スギ・ヒノキの無垢材や土壁などの自然素材も可能な限り使用しています。

    その他、改修前に天井で隠れていた板敷は、主屋つし2階の利用可能床面積やその形状を考慮し、つし2階への昇降経路として利用することにしました。

  • 主屋:リビング・ダイニングと和室 モダンデザインの リビング の 一級建築士事務所ささりな計画工房 モダン 無垢材 多色

    主屋:リビング・ダイニングと和室

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    ["KR"] [Published] 전통 거리의 풍경과 추억을 되살려낸 리모델링
    ["JP"] [Published] 奈良県の伝統的な街並みと記憶を復元した町家リフォーム

    断熱性能を確保した上で、間仕切壁や扉を極力なくして屋内を広く見せるとともに、通風経路を確保し、床暖房を敷設。建物全体を空調する計画となっています。

    和室とリビング・ダイニングの間の引違戸は、普段は戸袋内に収納されていて、間仕切りが必要な時に引き出します。

  • 主屋:和室 モダンデザインの リビング の 一級建築士事務所ささりな計画工房 モダン 無垢材 多色

    主屋:和室

    主屋建物の軒の高さなどが低かったため、2階のない部分は屋根勾配に沿って天井を張ることで生活空間に必要な圧迫感のない高さを確保しています。

    和室の障子の向こう側には《はなれ》を増築しています。《うなぎの寝床》とも言われる形状の敷地に建つ町家本来の建物配置を意識し、はなれを増築する際には、町家が持つ特徴のひとつである《中庭》を設けることで主屋の採光と通風経路を確保しました。

  • 主屋:天窓(外観) モダンな 家 の 一級建築士事務所ささりな計画工房 モダン セラミック

    主屋:天窓(外観)

    伝建地区である橿原市今井町では上空からの町並み景観を保全するという観点から、原則として《天窓》の新設は出来ません。しかし今回は、改修設計に先立って行った現況調査において《煙出し》らしき形跡が確認されたため、それを《天窓》に読み替えるべく関係官署と協議を行い、許可を得て工事を実施しています。

    そのため、《天窓》の外観形状を検討する際には、枠の部分に丸みがあるものを選び、できるだけ瓦屋根に馴染むように配慮しました。

    ※道路から見えない部分の桟瓦は改修前に葺かれていた瓦を再利用しています。

  • はなれ:外観 モダンな 家 の 一級建築士事務所ささりな計画工房 モダン 無垢材 多色

    はなれ:外観

    今回のお施主様は、ご夫妻とお子様2人の4人家族で、修理を予定している歴史的建造物の主屋だけでは居住スペースが足りませんでした。

    そのため今回は、敷地内の“建て詰まり”を緩和し、町家が持つ特徴のひとつである《中庭》を確保することも念頭に、敷地の奥に《はなれ》を別棟で増築する計画としました。今井町の歴史的建造物は、高さをはじめとする外形を変えられないため、上に積み上げられないのであれば、横に広げるしかないからです。しかし、修理後も建ぺい率が法律の基準に適合しない状況は変わりません。そこで、『今井町緩和条例』の適用を受けるための申請をし、増築が許可される設計を行い、必要な手続きを行いました。

    なお、《うなぎの寝床》とも言われる形状の敷地に建つ町家本来の建物配置に倣い、増築するはなれは蔵をイメージした外観としました。

  • はなれ:内観(1階) モダンスタイルの寝室 の 一級建築士事務所ささりな計画工房 モダン 無垢材 多色

    はなれ:内観(1階)

    増築したはなれは、建築コスト削減のために階高を抑え、天井は2階床下地である構造用合板とそれを受ける梁を見せる仕上げとしました。

    間仕切り建具の表面はヒノキの突き板ワックス仕上げとなっています。

  • はなれ:内観(2階) モダンスタイルの寝室 の 一級建築士事務所ささりな計画工房 モダン 無垢材 多色

    はなれ:内観(2階)

    増築したはなれは、建築コスト削減のために階高を抑え、登り梁の勾配天井としました。

    造りつけの棚は棚板の位置を自由に変えられる可動式となっています。

  • 主屋:改修前 の 一級建築士事務所ささりな計画工房

    主屋:改修前

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    ["KR"] [Published] 전통 거리의 풍경과 추억을 되살려낸 리모델링
    ["JP"] [Published] 奈良県の伝統的な街並みと記憶を復元した町家リフォーム

    町家の当初の姿である腰板壁や格子窓、土壁や虫籠窓などによる外観は新建材によって覆い隠されていたため、今回改修では今井町の伝統的な外観を復元することとしました。

    長屋の北半分は、住人による先の改修の際に構造的に分離され、独立した建物となっており、元々2軒で共有していた柱・梁・壁などは、今回改修する建物の一部として北側隣戸との敷地境界線上に残されていたため、今回の工事を機に、敷地内に20cm移設することとしました。

    敷地内はこれまでに増築された建物で一杯となっており、居住環境として良好とは言い難い状況でした。

    また、屋内の天井高さは最高で2.1mと低く、作業場上部の板敷・吹抜は天井裏に隠れていました。

  • 主屋:昔の写真 の 一級建築士事務所ささりな計画工房

    主屋:昔の写真

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    ["KR"] [Published] 전통 거리의 풍경과 추억을 되살려낸 리모델링
    ["JP"] [Published] 奈良県の伝統的な街並みと記憶を復元した町家リフォーム

    改修設計を行う前の実測調査中に、今井町の歴史的町並みを保存する為の調査が始まった昭和50年頃の写真が見つかったため、今回の聴き取り調査結果と照合し、他の町家の外観も参考にしながら改修後の外観を検討しました。

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