敷地は住宅密集地で、隣接して3方向に建物が建っていた。前面道路は北側で直射日光がまったく入らない上に、道路向かいにはマンションの南側バルコノーが迫っている。だから道路側へ無理に開口を設けても、一日中カーテンを閉めっぱなしの生活となってしまう。またトップライトを設けただけでは家族4人の希望している各部屋と家全体に日光は届かない。
そこで近隣の窓を避けてヴォリュームの真ん中を抜き取るように1.8mの幅でごっそりと切り取り、3方ガラスで覆って外のような空間を挟み込んだ。その結果、それぞれの部屋が独立して、抜き取られた吹抜部分へ窓やドアが接することで日光を直接取り入れることが可能となった。吹抜の上下に設けた通風窓により、重力換気を利用した風の通り道にもなっている。
切り取られた吹抜部分は、晴れた日には3方向から時間と共に光が移ろい、空のグラデーションが広がり、雨の日にはトップライトに波紋があらわれては消えたりと、住宅密集地で環境を映し出す場所となった。
建築用途//専用住宅
竣工//2014 .08
主体構造//木造3階建て
敷地面積//91.33㎡
建築面積//44.90㎡
延床面積//94.46㎡
1階から3階まで無垢の杉板の吹抜がつながる。
吹抜の天井は全面トップライトで空が切り取られたように映る。
近隣と距離が近すぎる為、周辺への開口は減らして、中央の吹抜へ向けて開いた家。
金属のクールな建物に対して、内部へ向けて植物と自然の大谷石で緊張感を和らげたアプローチ。
階段踊り場からみる寝室と吹抜の中の読書スペース。
トップライトからの光が吹抜全体を明るく照らす。
吹抜側に開いた木製建具。
螺旋階段と共に家族間のコミュニケーションを促す。
柔らかな曲線の手摺の間からみえる風景。
珪藻土の壁と天井、オークフローリングを使用して、できる限り接着剤を使わない居室。
3階吹抜部分のトップライト。
冬は日射熱を取り込み、夏はLow-eガラスとサンシェードで環境を調整。
すぐ真上に空が広がる。
引戸を開ければ一室空間として使え、閉めれば独立した部屋へ変化する。
トップライトの太陽と珪藻土の壁。
ケミカルなものが排除された一番心地いい場所。
裸足に気持ちいい十和田石の床と、広いウォールナットのカウンター。
浴室の窓の光を洗面室へ柔らかく導く。
洗面室から連続した十和田石の床とトップライト
傾斜させたトップライトがバスルーム全体を明るくする。
人感センサー照明により、植物をドラマチックに照らしながら帰宅者を迎え入れる。
アプローチを奥まで進むと家の内部の広がりが目の前にあらわれる。