STUDIO POH

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築100年を超える雨屋の改修

栃木県東部には、下部が石積、上部が木造の雨屋が敷地境界に沿って点在し、独特の風景を形成している。これらは100年以上前に建てられ、錆びた鉄板、風化した木材、くすんだ漆喰壁、艶が抜けた不揃いな瓦をまとい、時間を経ることでしか得られない特別な魅力をもっている。内部に入れば手鉋による変形丸太の三段梁が等間隔に並ぶ。現代の流通機構・大工技術では難しいもの。 祖先がこの地を開拓して築いた養蚕のための雨屋。家族や土地の歴史と共にあった。その記憶を残したいという建築主の想いを、住宅への転用という形で動的に保存を行おうとしたもの。そのため、現有の姿を可能な限り維持しつつ、建築士として耐震性や居住性を現代の水準に高める必要があった。 腐食した材を交換するとともに、近郊の村でかつて焼かれていた木型瓦を載せ直す。壁として積まれた地場の磯山石にはアンカーボルトをうち、コンクリートを沿わせ補強。内部にベタ基礎を設け、架構ごとに柱を垂直に挿入し、屋根荷重を地盤に伝える。既存外壁に力がかからないようにし、新設の柱間を耐力壁とし耐震性を確保した。古屋の再生では、一度解体し基礎を設けた上で組み直す手法が一般的だ。しかし、経年変化により木にねじれが生じているため、特殊な技術をもち、古民家再生に長けた大工でないと施工は難しいだろう。この手法であれば、地場の大工であっても施工が可能となる。建物のねじれや傾きはそのままに、外壁もそのままに。 既存の開口部をいかし、ペアガラスと網戸を備えた木製建具を設置し、風を抜く。不足する光量を電動トップライトによって補うとともに、重力換気も期待する。床下、壁、屋根に断熱材を充填し、断熱性能を確保するとともに、暖炉によって建物全体を暖める。上部に溜まる暖かい空気をカウンターアローファンによって床下に送り込み、床を暖める。居住性にも最大限の配慮を行うことで、無理なく住み続けられる。 雨屋は、この地方の歴史を刻み、景観を形成する大切な資産である。それを高額な費用と特殊な技術を必要とする移築を行わず、地場の大工でも可能な構法で住宅に転用する新たな手法を提案している。そして、家族や地域の記憶の継承と、地域住民の手で風景を守っていくことを意図した建築である。

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