矩須雅建築研究所が手掛けたしみず小児科・内科クリニック | homify
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矩須雅建築研究所
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しみず小児科・内科クリニック

■ 敷地の状況

地域は東京郊外の青梅に至る街道筋で、多摩川の土手林や崖林がある緑豊かな環境である。附近は旧家やその屋敷林が広がりのどかな武蔵野の風景を残しているが、街道や鉄道の交通網が整備されたために利便性が向上し、近年宅地化が進んでいるようである。

敷地は奥多摩街道と五日市街道が交わる交差点に面している。奥多摩街道沿いに今回新築した平屋の診療棟と、敷地の奥に既存住宅を改修した別棟の病児保育所がある。

■ 建築主の要望

この建物は長年この地域の公立病院で医療に携わった女性医師の独立開業のクリニックである。医療を通して地域で貢献をしたいという熱意を強く持っている。この建築にはそのような思いが十分投影されて、建築主の人柄が造形表現に織り込まれるべきであろうと考えた。

外観への要望は大正時代から昭和初期によくみられた洒落たクラシカルな装いで、街の医院がそうであったように落着きと親しみやすさが感じられるものということであった。

 内装についても、外観と同様に懐かしく落ち着く雰囲気にしたいということで、待合には壁面に無垢材を用いて木の温もりを感じるものにしたいとのことであった。

■ プランニング

少人数で運営するために、診察、治療、事務処理の効率化、患者に対しての徹底した安全性が求められた。受付からカルテ庫、カルテ庫から診察室、処置室で行われる全ての作業が最も機能的に行えるレイアウトで、受付カウンターから職員が常に患者の安否に配慮できるデザイン上の工夫が求められた。

疾患と患者の状態や心理、付き添う家族に適切に対応すべく様々な状況を想定し、各機能、各室位置、医療機器のレイアウトと動線を注意深く検討し、最終的なプランがまとめられた。

■ 建築計画

敷地の中央(計画建物の南側)には昭和28年に指定を受けた位置指定道路があり、交差点から斜め奥に伸びている。そのため建築可能な範囲は奥多摩街道側に広く、奥に進むとかなり狭まるという厳しい制約があった。しかしその制約を敷地の個性として生かした計画とすることで非常に機能性の高いプランニングが行えた。人が集まる受付スペースを広く確保し、水廻りを西側奥に配し、診療エリアは中央から北側にまとめたことで、患者の移動を最小限にして、看護師や職員についても最短の動線で治療や作業を行えるようになった。受付は待合にせり出す形をとり、職員の目が行き届くような設えとした。患者に優しい空間造りの裏で徹底した機能性の追及が行われ、快適且つ安全な計画となっている。

■ インテリアと患者への思い

エントランスから屋内導入部の壁はクローバーを抽象化したパターンモザイクタイルを採用した。「クローバーの意味 = 幸福 = 元気になって欲しい」という思いが込められている。正面の壁はブロンズガラスブロックの光壁にし、その柔らかい光が患者やその家族を院内へ導くように設えた。

待合の腰壁面はタモの縁甲板をあしらい、その上部に19世紀のイギリスのアーツ&クラフツ運動で知られるウイリアム・モリスデザインのクロスを採用した。無垢の木の温もりと、気品のある美しいクロスが、懐かしく心地よい雰囲気を創りだしている。待合のオリジナルベンチは原寸図から型を起こし、座り心地を吟味しながら職人の手仕事で製作した。建物の角や家具の角を丁寧に取ることは主な患者である幼児が怪我をしないようにする配慮であるが、視覚的にもディテールや空間が患者やその家族に優しく語りかけて心癒すものとなった。

■ 街並とエクステリア

待合空間をゆったりと確保するための工夫として外壁側の構造耐力壁を全て外に配置した。これがゴシック建築のバッドレスのような視覚的効果を生んだ。耐力壁は寄棟の大屋根を貫く形で雁行しながら壁面を分節し、これによって全体のボリュームが抑えられ親しみやすいスケール感が生まれた。その壁に取り合う軒、装飾的な窓廻が彫りの深い陰翳をつくり、仕上げに用いた柔らかさを感じさせる肌合いのよい吹付けと、日本の伝統的な呉須の釉薬による陶板のタイルと相まって、現在ではあまり見られない中世建築のような趣のある設えとなった。

エントランスには繊細な放物線ヴォールトを施し、女性医師ならではの優しさ、肌理細やかさを表現した。訪れる人々に医師の人柄や医療に対する思いを印象付け、この地に相応しい街角のランドマークになったと考えている。

■ 複合的な医療施設による地域貢献

 この計画に際して、様々な方々の希望や実現への情熱があった。医師の家族は代々伝わる旧家で、この地への愛着と高い地域貢献への意欲があった。デザインに対する理解や高い知性に恵まれてこの建築は実現した。また、今まで西多摩地域には病児保育所(※小児科併設が条件)がなく、福生市をはじめ地域から熱望されており、当初より敷地内にあった既存住宅を保育施設に改修、複合的な幼児医療施設として地域医療を担うという使命を持って開業したのである。

  • 外観1: 矩須雅建築研究所が手掛けた家です。

    外観1

    ゼセッションスタイルの外観。

  • 外観2: 矩須雅建築研究所が手掛けた家です。

    外観2

    夜景。

  • 待合室1: 矩須雅建築研究所が手掛けた和室です。

    待合室1

    雁行しながら広がる空間。

    ベンチは造り付け。

  • 外観3: 矩須雅建築研究所が手掛けた家です。

    外観3

    異素材による構成。

  • 待合室2: 矩須雅建築研究所が手掛けた和室です。

    待合室2

    奥からの眺め。

  • キッズコーナー: 矩須雅建築研究所が手掛けた子供部屋です。

    キッズコーナー

    デザインタイルを貼ったキッズコーナー。

  • 外観4: 矩須雅建築研究所が手掛けた家です。

    外観4

    エントランスポーチの夜景。

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