敷地は幹線道路である国道に面していますが市街化調整区域のため周辺に建物は殆どなく水田が遠くまで見渡せま
す。建主はこの土地に建物付の土地を購入し自身が経営する会社事務所および
住居として利用してきましたが建物の老朽化
が進んだこと、業務拡大のため事務所店舗併用住宅として建て替える事になりました。
比較的平坦で明確な方向性を持たない敷地に
対して明らかな正面を持たない、あるいはどの面も正面と言えるようなほぼ正方形の平面
を持つボリュームを敷地中央に配置しました。
内部空間は1階をオフィス、2階を住居としながらもそれぞれが完全には分断しないよう
な連続性を持たせています。
1階にはオフィス・ラウンジ・ショップを円
環状に配置し、アプローチ・エントランスが
南北にそれを貫いています。2階にはリビン
グや寝室等のプライベートな空間がやはり円環状に配置され、それを挟むようなかたちで
南側と北側にリニアに外部空間が配置されて
います。3階のロフト・ギャラリーは建主の
コレクションの収納と展示を兼ねた空間であ
りアクリル複層板やランダムに穿たれた大小
の開口部により適度な距離感と透過性をもってお互いの空間を補完しあっています。建主
の多様な価値観を反映するように採用された様々な素材や色彩と相まって公共性と私性・
趣味性をルービックキューブのように内包し
た空間となりました。また交通量の多い国道沿いにあって地域のランドマークとなっています。