いにしえの民家の魅力と未来の暮しを結ぶ、木組みと土壁で造る家です。
ご主人の定年を機に、一家で安曇野に移住したNさん家族の住まいです。
Nさんが、これまで数軒の住宅を移り住んだ末にたどり着いた結論は、伝統構法で造る土壁の家でした。
この家の技術的なテーマは、地元の木材を使って、金物に頼らずに組みあげた骨組みに土壁を塗り、下地から仕上まで天然素材で造ることです。
その一方で、もうひとつの重要なテーマがありました。
それは、伝統構法と土壁の魅力を活かした未来の住まいつくり。昔のつくり方で昔の家をつくり昔の暮らしを再現することが、この家の目的ではありません。目差したのは、いにしえの民家の魅力とNさん一家の未来の暮らしを結ぶ新しい住まいのかたちです。
大きな屋根に覆われた腰の低い佇まい、
懐の深い小屋組の大空間、
力強い骨組みと大黒柱、
田の字型の単純で開放的な間取り、
土間から繋がる日常生活の場、
自然素材でつくられ自然に還る循環する建築。
そんないにしえの民家の魅力を、Nさんの暮らしに置き換えました。
また、寒冷地の長野県において、調湿性や蓄熱性に優れた土壁の機能を活かすために、断熱性能を高め、健康で快適な住環境をつくりました。