都市のツリーハウス, m-SITE-r m-SITE-r オリジナルな 壁&床
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時代の波もあり全国の至る所で商店街という機能がなくなってきている。ここ西小山でも商店がマンションに変わるなど、ゆっくりではあるもののその波は感じられる。そんな中で私が西小山の商店街に事務所を構え住人となり約12年が経った。今回の計画は私の事務所併用住宅の建替えである。

どのような住宅なら商店街に仲間入りして街に人を呼び込めるのか。まずは地域の住民を巻込み、住民にとって思い出と記憶に残るものをつくろうと思った。そうすれば再び足を運んでくれるだろうし、それが商店街の中での住宅の価値に繋がるのではないかと考えた。また都市の中で生命が宿ったようなモノをつくりたいという以前よりの私の想いも込めたかった。「木々が長年かけて成長していくように、建築も成長していく過程を人びとと共に慈しみ、永久に成長を楽しみ続けるもの」がつくれないものかと。

そこでプランの中に地域の住民に活用してもらうオープンスペースを設えた。ガラス張りのこの空間は、商店街の寄り合いはもちろん、昔懐かしい子供が駆け巡る商店街を目指す仕掛けを行っていきたいと考えている。また工事期間中に2日間ワークショップを開催し、700名の老若男女の地域の住民に桜の刻印を作成し、外壁となる銅板にトンテンしてもらった。自分自身の作業の痕跡の残る銅板に覆われ、経年し成長するこの建築を見に訪れてくれるのではないかと考えたのだ。

それを受けとめる本体は自然界にある木のように構成したかった。主構造のみをあえてRC造とし、他の部分は代謝可能な木造とした。核となる幹柱を軸に空間は繋がって展開している。地下には根と呼んでいる構造体があり、それが地と接し地上部を支え踏ん張っている。地上部は幹より伸びた枝梁が葉床(フロア)を支えている。より強い生命感を与えるため採用したスキップフロアで生まれたレベル差の違いやこの特有の狭さ、上階にいくにつれ広がりをみせる光の効果もあり、恰も木に登っているような感覚が芽生える。そしてそこには木と家族が一体となって支えながら暮らしている生活がある。

こうしてツリーハウスは商店街に樹立された。形態としては成長した木となったが、商店街にとってはまだ蒔かれた種のようなものである。これから芽が出て、建築の変化、街の変化を受け止めて、十数年後には緑青色に変化した銅板を纏い、地域に根付く樹木となることを願っている。

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