森に雨が降る、その雨は山肌に滲み(入り)浄化され川に流れる。やがて大河の一滴となり海へと届く生命の循環である。
名古屋市の東南に位置する、原風景は里山の一画である。北斜面をひな壇状に区画された場所で、けっして恵まれた土地とはいえない。しかし創り様によっては十分おもしろく快適な住まいは出来る。
“多層一体の家”住空間の中心に階段スペースを据え、地階に駐車場(1層)、1階にリビングと和室(パブリックスペース/2層)、半階上りダイニングキッチン(セミパブリックスペース/3層)、2階に寝室・子供部屋(プライベートスペース/4層)、その上部に小屋裏多目的スペース(空気の流れを生むスペース/5層)のスキップフロアである。その廻りを光と風が巡る自然循環システムを実現している。四季を通して家中の空気が心地よく流れ渡り、光がスキップする。内と外の関係を出来るだけ”自然なかたち”で表現した。それは半世紀前ここにあった原風景をイメージして・・・。