豊かな敷地環境を次世代に活かし残してゆくためのプランとディテール
まだ緑の多く残る世田谷区の一角にある建て主の親族が集まった集落のような敷地は、古くからの武蔵野面影を残し、敷地には、区の保存樹木である15mを超える銀杏の巨木が、3本そそり立ち、都内とは思えないとても快適な環境にあります。
この緑に恵まれた快適な環境を次世代に伝え活用してゆくため「自然の空調装置」として位置づけ、この環境のもつポテンシャルを積極的に活かした住宅として計画しました。
具体的に取り入れた環境共生手法は、
1.既存の樹木を活かした建物配置計画。(樹木による冷気生成、採風・日射の制御)
2.社会ストックの為の住まいとして、コンクリートの水セメント比50%以下等対応による躯体の耐久性の確保
(100年住宅)
3.増改築が容易に対応出来るようにスケルトン・インフィルを明確化した平面計画
(南北面はS造、東西面には拡張を考慮した開口部の設置)
4.パッシブデザインとして、既存の銀杏を日射の制御として利用した温熱環境シミュレーション(ソーラーデザイナー)によるコンクリート躯体の外断熱による熱容量を活かした室内温熱環境安定化
(ダイレクトゲインパッシブソーラー・暖房エネルギー負荷の低減)
5.夏季の夜間通風を促進するためのエキスパンドメタル製の防犯通風戸による躯体の蓄冷対応
(冷房エネルギー負荷の低減)
6.深夜電力を利用し水を暖め、穏やかな輻射型の穏やかな室内環境を実現する床暖房(アクアレイヤー)