のどかな田園風景の土地は偶然見つかった『掘りだしモノ』
ではあるが、ご要望通りの家でゆっくりくつろぐには最適な場所。
そんな敷地に『夫婦仲良く暮らせること』『お互いのプライベート
は尊重しつつ、気配が感じられる空間』を計画した。
南北に長い敷地のちょうど中央に建物を配置し、その二つの
余白をそれぞれ別の用途の庭とした。南はパブリックで例えば
来客時は食事ができたりできるよう、北はプライベートで
洗濯物干場にしたりと。
内部空間は、玄関から直接リビングにアプローチし、そこから
各個室、ダイニング、キッチンへアクセスする提案をした。
ちょうど『漫画喫茶で中央部から各ブースにアクセス』するようにね。
中央のリビングの天井は、大きなアール天井としてやさしい
空間を印象付ける狙い。その空間に移動式の個室『ゲル』を設け、
季節に応じて移動できるようにしている。
今回の計画の中で、『居場所』というものに対して再考する
機会を与えて頂いた。単にリビングで皆と一緒に過ごして、
ひとりになりたい時の為の個室を設えて・・・だけでなく、
ゆるやかに家族と繋がる居場所づくり。
今回は、ご主人の為の『ロフト』は籠るだけでなく、しっかりと
リビングへの開口を空けてつながり、移動式『ゲル』は個室で
あるものの、同じ空間に居ることができる。
そんな自由な居場所、居心地の良い居場所を求めて移住する
遊牧民を意味する『ノマド』と名付けることにする。