ジュエリー職人の父、ジュエリー作家の娘、そして猫2匹が暮らす住宅の建て替えである。築30年超の分譲住宅(木造2階建て)に長年暮らしてきたが、年月と共に家族構成が変わり、物が増え、また隣家の改築で日当たりも悪くなり、広さとしては十分でありながら、薄暗く細々とした間取りの中で手狭な生活を送っていた。そんな施主からの要望は、「日当たりがよく細かい区切りのない空間」だった。この要望に対して、建物・敷地双方の観点から、

1.大きな一つの空間内に、小さな生活機能(寝室・トイレ・浴室)を最小限のスケールで内包させる。

2.正方形の敷地を南北に四分割し、座敷・土間・庭・駐車場という役割を与え、それぞれの領域間に視線・活動の拡張空間としての大きな繋がりをつくる。

という二つの構成要素を考えた。個々の機能の分割と生活空間の拡張という相反する要素を満たすための操作として、座敷と土間には40cmの段差を、土間と庭との間にはW4.5m×H4.8mの大開口を設けた。座敷に配置された居間・寝室・水回りなどの生活機能に対し、それら全てに等価に関わる緩衝領域として土間を隣接させる。座敷と土間との段差はひとつの大きな空間を区切りつつも、そこへ腰掛けることで、座敷に上がる・土間に下りるといった次の動作への「きっかけ」をつくり出す。こうすることで、段差により生ずる空間の上下関係は、行為に応じて空間領域を変化させながら繋がっていく。そして、その繋がりを土間に面する大開口によって庭・駐車場へと拡張させるために、土間と庭には段差を設けず、視線や行為の変化を促している。このような構成により、コンパクトな機能空間を流動的に建物および敷地全体と結びつけた。こうすることで、空間を物理的に仕切るのではなく、時々刻々と変化する動作空間が、常に全体へ作用する仕掛けができたと考えている。そして、二匹の猫たちも、DOMAで自由気ままに過ごしている。

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