『単調な住宅街に視線の抜けを創り出し、街並みに開放感を与える家』
本計画地は、開発されて三十数年が経った閑静な住宅地に位置する住宅の建替計画である。
北側にバス道を有する幅員16mの幹線道路と、南に幅員6mの道路に接する住宅地である。
クライアントから求められた事は、この二つの道路からの視線の考慮と、子供の感性を刺激する仕掛けを創ることであった。
多くの住宅がそうであるように、南側に庭を取り、北側に住宅を建てると言った一般的な考え方ではなく、二階建ての建物を敷地の中央に設け、1階部分の床面積の1/3を切り抜き、二つの道路をつなげた。切り抜かれた開口部は北側の街路樹を借景としながら、アプローチと駐車スペースとしての機能を果たしている。この開口部は単調な住宅街に視線の抜けを創り出し、開放感を与えると共に、この街の地勢を感じることに寄与するものである。
内部については、1階に生活に必要最小限の固定された機能を与え、2階にエントランスとキッチン、そして機能を限定しない広間をユニヴァーサル・スペースとして設けた。
また、広間の南に設けられたデッキスペースは、外観を構成する壁と樹木で囲まれ、プライバシーを守りつつ光と風を享受することのできる親自然性に富んだ空間を創り出している。
この広間やデッキスペースは、食事はもとより、家族の団欒や接客、ホームパーティー、そして季節の移ろいを感じられる子供たちのプレースペース・・・等々として、いかようにも対応できる一室空間の提案となった。
種別 新築
用途 専用住宅
規模 地上2階建
構造 鉄筋コンクリート+木造混構造
所在地 神戸市垂水区
竣工 2013年12月