目黒川に面したマンション1室のリノベーションです。区画のほぼ中央にどうしても撤去できないパイプスペースがあります。この一見邪魔であるようなパイプスペースをあえて柱状に露出させ、周囲に個室以外のリビング、ダイニング、キッチン、和室を1つながりのまま配しました。するとどこに居てもパイプスペースによってどこかのスペースが見切ます。見る角度によっては室内だけでなく外部も同時に見切れることになります。空間全体を一望にできない、視線が常にパイプスペースの後ろへ回り込む視覚的な回遊性が生まれます。この視界に入る空間がいつまでも完結しない状態は、生活の中にシーンを増やし、物理的な広さとはちがった奥行きのある暮らしをもたらします。