対岸に熱海の市街を望む、岬の一角に立つ別荘のランドスケープ。

潮風と強風そして強い陽射しに耐えうる植生は、半島の自生種を参考に組み立てた。海と蝶が少年時代より好きなお施主さんはそもそもこの半島の蝶の多様性に惹かれ、この土地を選んだ。蝶の好む柑橘類、吸蜜植物などをあしらい、蝶の通り道になるような木陰道もできるようにデザインしている。

斜面に差し込まれるように設計され、大きな屋根で構成された建築と、土地の起伏に合わせて、庭は扇状に展開している。建築を大きな船に見立て、借景を活かしながら緑の海原にそれが浮かんでいるかの様に豊かな緑の景をイメージした。

真鶴は優良な墓石である「小松石」の産地。景石も含め、様々に組まれた石垣の石は全て地元の石切り場から運んだ。そのほとんどが庭師の手積みである。