本建築は、施主であると同時に本人も建築家である土田が、結婚と親世帯との同居、家族での起業をきっかけに建てることになったオフィス付の二世帯住宅の設計を、畠中に依頼したことから始まりました。
畠中:自邸は自分の作品にもなるのだから、自分で設計すれば良いのにと、依頼には正直びっくりしました。
土田:いわゆるセカンド・オピニオンが欲しかったのではなく、二人の対話を通じて恣意性や独善的な意味での作家性を削ぎ落としていきたかったので。
畠中:今思い出せば、間主体性の中に共通の思いを見つけることが出来たときは嬉しかった。施主はプロデューサーもしくは作曲家であって、建築家はディレクターまたは指揮者であるという位置付けを一旦明確化した上で、責任を押し付け合うのではなく責任を取り合う関係が心地よかったです。音楽的な関係というか・・・
土田:場所に対する愛着からの現地立替、土量の場内バランスや太陽光発電の設置、分離発注方式の採用などの副主題が、最終的には世代間の適切な距離感というテー
マに結びついたのは二人の対話があったからです。
畠中:シンメトリーの構成によって出来た通り庭で、世代間の様々なアクティビティが生まれている事を嬉しくい思います。今後は、その中心にあるオフィスをインターフェイスとして、笑顔と対話が絶えない土田家の良好な関係が社会に広がっていくことを望んでいます。
土田:施工の最終段階で畠中さんが病に倒れたときは大変なことになったと思いましたが、こうしてまたお話が出来て本当に良かったです。無理しないでくださいね。
畠中:僕が倒れてからは、土田さんがディレクターの役割も果たしてくれたので、安心してリハビリ出来ました。やっぱり、共作にして良かったです(笑)
種別:新築
用途:住宅
規模:2階建て
構造:1階RC造、2階木造
所在地:札幌市西区
竣工:2011年
敷地面積:352.91㎡
建築面積:174.96㎡
延床面積:297.36㎡
クレジット:畠中秀幸 × 土田晃嘉 × スタジオ・シンフォニカ