重要伝統的建造物群保存地区に選定された、奈良県橿原市今井町で、築約200年の町家をリノベーションすることになった。
現代のライフスタイルに適合させつつ、伝統町家特有の不具合(動線、プライバシー、寒暖、柔構造で足元が脆弱)を解消し、 耐震補強をに適切に行い、伝統町家の空間的構造的特徴を損なわず全面改修する。
建築物は十分な基礎のない石場建て構法の建築物であり、通常は高耐力の壁での補強ができないため、 高耐力な耐力壁を組み込んだ耐震フレームを開発し、これをバランスよく配置する構造計画とした。
プランは、通り土間を生かしながら、土間を中心に部屋の配置や風や光の流れに配慮し、 土間と各室の関係は、間仕切りによりつながり方を変えられる。
2階は厨子2階で天井が低く、重伝建地区ゆえに外観の変更ができない。 窓を新設できない中で南から光が回るよう工夫した。 空間には大きな3次元曲線を描いた美しい梁が何本もあり、それを生かしながら仕切り、個室として使いやすく計画した。