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K さんのためのアパート, kurosawa kawara-ten kurosawa kawara-ten モダンデザインの リビング
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千葉県千葉市にあるマンションの一室をリノベーションしたプロジェクト。
築20年のこの集合住宅は、とてもよくデザインされた新興住宅街の中にある。建物の外観や構成はその当時としては挑戦的なものであったと思われるが、一歩部屋の中へ入ると、その構成や使用されている建材はどこにでもあるnLDKと新建材であった。 この部屋を30台の若い夫婦のために作りかえる必要があった。

まず、この部屋の大きな特徴としては3つあり、1つ目は西側に公園があり1階なのでとても開放感があること、2つ目は中庭型の建物のため東西の両側から光が入ること、そして3つ目は70㎡弱という限られたスペースで、もちろんこれ以上大きくはできないということだった。そして、夫婦の特徴は、夫がとても社交的で、妻はどちらかといえば家族で過ごすことが好きだということだろう。

これらの条件と、集合住宅が持っている根本的な特徴から、このプロジェクトでは空間の構成のために2つの考え方を用いた。 1つ目はプライバシーに関して。妻は家族で過ごす家が好きな性格であり、物音などに敏感である。また、集合住宅を俯瞰してみてみると、150-200mmの壁を挟んで他人同士がとても高い密度で隣り合っている。寝室のベッドが壁際置かれているとして、隣人も偶然ベッドは壁際だったとすると、夜寝ている6-8時間の間中15cm隣に人が居る状態で暮らしているのである。 この見えない密度によるストレスを心理的に少しでも緩和するために、70㎡の家の中に30㎡の家を確保する。キッチンとバスルームと寝室でできたこの家の中の家によって残りの40㎡は外の世界との緩衝空間となる。これによって公園を含む外の空間、友人や客を通すリビングとテラス、また夫の仕事場、そして家族が主に使用するキッチンとバスルーム、さらに他人は入らない寝室、その奥には緩衝スペースを挟んで同じ建物の住民だけが通る中庭という性格の違う空間が連続して作られている。これはとても心理的なものだが、周囲の壁に取り付くように作られていた既存の空間とは対照的に壁から離れた居場所を作ることができた。 2つ目は床の段差である。この家の中の家の部分はその他の部分から200mmほど高くなっている。このことで空間を明確に分けているのだが、西側の窓へ向かって伸ばされた床は、ダイニングスペースが公園へと意識されていることを誘導する役割も持っている。そして、床を少しだけ高くすることで、ダイニングテーブルに着いた時の窓の外には公園があたかもこの部屋だけの庭のように借景となる。さらに、この床はリビングとの間では腰をかけるベンチにもなり、限られた面積のなかに最大限に居場所を提供してくれる。 また、これら区切られた空間をさらに強調するために内装材をはっきりと分けて使用している。 これらの内装材には新建材を極力用いず、年をとることができるものを使うというルールを決めている。手垢や日焼けもそうだが、塗替えや磨きによって表情に深みが出る、そんな家族と一緒に年を重ねることのできる素材を使うことで、時間がたつほど価値が出るような住居の作り方ができないかと考えた。さらに、キッチンの壁に使用しているタイルは瓦をタイル状に焼いたものを作り、新しい素材も同時に開発した。

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4.5

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