岡山県の北部の津山市を中心に県内に10店舗を展開する調剤薬局で、最近の3店舗を継続して、当設計室で設計・監理をさせていただいている。
施主の要望である「日本の一般的な調剤薬局のイメージを一新する建築」を考えることから、この計画が始まっている。大手町薬局の3作を通しての建築的なコンセプトは、外部と内部の中間領域を、その建築の置かれる場所によってどう扱うかということであった。 また、その操作によって空間の奥行を感じられる建築を試みている。
この本社屋では広い駐車場と建築の間に、バッファゾーンとして垂直をイメージした植樹帯を計画し、外壁の微妙に傾斜したスリット(開口部)との呼応を試みた。同時に、植樹は建築の形態上のエッジを柔らかくしてくれる効果がある。病院づけになりがちなお年寄りがこの薬局に来られて、林の中の「木漏れ日」に出会ったときのようなリラクゼイションを感じてもらえるよう、意識的にボリュ-ムのある植栽を心掛けた。
内部空間も、調剤の待合、OTC薬の売場の壁や商品棚は、敢えて無垢の木材を使用している。レイアウトされた白と黒の壁と見え隠れする吹抜けは、調剤薬局の貧しい造りのイメージからの脱却を目指し、訪れる患者さんの「安らぎ」につながる空間になってくれればと思う。
施設全体としても、一般的な調剤薬局ではなく、店舗建築としてのクオリティーと建築が与える地域への強いインパクトを期待している。
種別 新築
用途 調剤薬局本社屋
規模 階数地上2階
敷地面積 1,331.98㎡
建築面積 279.43㎡
延床面積 441.73㎡
構造 木造2階
所在地 岡山県 津山市
竣工日 2013.05
撮影 後藤健治