東京郊外のベッドタウンに位置する住宅である。
イギリス人の大学教授が、趣味である着物の研究やそれに関連した染色を行うためのスタジオを空間の中心として、子供たちが成長し、出て行った後もホームステイを受け入れながら、豊かな交流を継続する空間を計画した。
敷地は南北に広がり、傾斜地に造成されているため眺望のよい北側へプライベートを開いた配置計画となった。9100*9100の大きな正方形に吹き抜けのスタジオを配置。キッチンと連続させることでクライアントの希望する大人数のパーティにも対応可能とした。
今後クライアントが高齢になった時のことを考えクライアントの寝室や書斎、インフラはすべて一階に集め、二階に各個室やリビング、和室を配置した。二階のリビングからは遠くに富士山を望む事が出来る。
和室には建て替える以前の既存住宅の柱を使い、過去からこの場所がつながっていることを意識させる。
この建築の一番の特徴は外部を囲むステンレスメッシュであろう。
建物の周辺に、外部と内部の境界が曖昧な空間を作ること、またアイストップとして、外部から中の様子をうかがい知りにくくし、防犯の効果を持っている。メッシュは二重になっており、モアレを起こさせる。内部のような外部空間を作り出す。
風に揺られることで、煌めきながら浮かび上がる模様を変化させながら煌めく。
また、朝、昼、夕方、夜と当たる光の角度や強さによって外観に全く違った印象を与える。
このメッシュによって時間や季節、天候などによって様々な表情を建物に与えてくれるのである。
題名: MoyaMoya
設計:佐野 文彦/studioPHENOMENON
所在地:東京都東久留米市
主用途:専用住宅
協力:坂田真二建築設計事務所
施工:DESSENCE / TANK
建築面積:82.81m²
延床面積:144.79㎡
構造:木造二階建
竣工 :2014年5月
写真:嶋 大輔/ Nacasa&Partners