9mスパンのワンルーム保育室
福岡市のベッドタウンである太宰府市に建つこの保育園では、収容児童数を増やすために分園(2クラス)を増設することになった。しかし全国的に小子化が進んでいることを考えると近い将来児童数が減る可能性もあるため、この建物は様々な用途(遊戯室など)へと改修可能なように、建物内部に柱が無い9mスパンの無柱空間で構成することにした。
山形折板状屋根構造体
木造トラス梁を応用した山形折板状の屋根構造体で無柱空間を実現しており、その構造体を支える耐力壁はすべて建物外周部に配置している。現在の建物平面は2つの保育室とトイレ等に分割されているが、将来的には1室の大きな空間に改修可能である。さらにこの建物は、工場で組み上げた木造トラス梁をトレーラーで搬送し、それらを現地で組み上げて施工した。斜めに傾けたトラス梁をブレースの入った耐震壁に接合するため、多くの部材が集まる複雑な接合箇所も生じるが、拡張樹脂アンカーという工法を採用することで解決した。そんな複雑な接合部は工場で組み上げ、比較的簡単な接合部分のみを現地で接合することで、施工精度の向上と工期の短縮が実現できた。
コストパフォーマンスの高い木質空間
施工費用を抑えながらも「木に囲まれた育児空間」という保育園の要望に応えるため、構造体を内部表しにする(天井材や壁仕上材の省略)だけでなく、トラス梁を斜めに傾けてそのまま屋根下地として利用した(小屋組と垂木の省略)。また天井高を低くすることで、柱材長さを短くし、空調気積も減らした。低い部分の天井高は約2.2mしかないが、凸凹した屋根形状と妻側の台形窓のお陰で、大人でも天井の低さを感じることはない。
Location : dazaifu, fukuoka, JAPAN Function : nursery school
Site area : 425 ㎡ Building area : 168 ㎡ Total Floor Area : 149 ㎡ Stories : 1
Structure (materials) : wooden structure Completed date : may 2012
Structural engineer : YS Constructional engineer : Nagata kensetsu Co.
Photographer : Hiroyuki Kawano