このアトリエは地方都市の閑静な住宅地にある。
施主は写真家で、自宅のある敷地内に住まいの離れとしてアトリエの設計を依頼された。
自宅の南に面する庭をアトリエの建設地にあてがっているが、アトリエの影が住まいへ極力影響を及ぼさないよう配慮する必要があった。必然的にアトリエの配置は南西角に決定された。
南西角は道路の隅切りにより45°にカットされており、建築の外形をこの面に合わせる
形状とした。その斜めの線を点対称させて東面へ写し、平行四辺形に設定している。
平行四辺形の形状としたことで、小さいながらも長手方向の距離感を生じさせている。
外観は見る位置により印象が変わるように、全体を捉えにくい形状となっており、この建築の魅力となっている。
1階は現像室とスタジオとし、2階にはトイレと書斎を設けている。
螺旋階段のコーナーから差し込む光は室内を巡り、建築全体で時の移ろいを感じとれる。
写真:齋藤さだむ