蛇籠の家は西垂れの傾斜地に建つガレージ付きのコートハウスである。
重力に逆らうように宙に跳ね出しているコンクリートのボリュームがまず目にとまるダイナミックな造形を作り上げた。人工的に切り開かれた造成地に擁壁を拵えて平坦な土地を作るのではなく、以前そこにあった里山の風景を雑木の庭によって再生しつつ、人の手の痕跡をそこに強く印象づける様なファサードをイメージした。
砕石をステンレス製のカゴの中に詰めた「蛇籠」の壁をアプローチにそって積み上げた。本来は土木用の資材としてつくられた蛇籠は道路からの目線を遮る強固な壁であるが、一方で風や雨などが通り抜ける自然との親和性が高い材料だと捉えている。蛇籠や水盤、植栽が一体となったこのアプローチは、人は常に自然と共にあるという私のポリシーを体現している。