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この住宅は、北側道路からの旗竿型敷地に建つ。
旗竿型敷地の特徴は、四方、すべてを建物に囲まれてしまう事。
この敷地は、その上、南側のアパートに付属する解放廊下に面する。
このような厳しい条件であっても、
住宅として、南向きの居心地を建築的につくりたいと思う。
結果として、建物の重心を北側に寄せて、常緑樹を囲むL時型のプランとし、
隣家との距離をつくる事で、南向きの居心地が生まれると考えた。
しかし、南向きの事ばかり意識すると、
僅かに社会と繋がる北側道路に対して、背を向けてしまう。
北側道路に向けて、バルコニーを設けた。
台所から繋がるサービスバルコニーは、北側道路に繋がる。
個人的に、ジュリエットバルコニーと呼び、この家の顔とした。
しっかりと建物と社会を繋げておきたい。
旗竿敷地という特性を建築的な手法で、居心地をつくり出した住宅。
pfoto 大友洋祐