副都心の喧噪を抜け、歴史ある街並の一角が敷地となる二世帯住宅。
勾配のある敷地形状を活かし、土地の持つ気に逆らうことのないよう、スキップフロアの空間構成で地に馴染ませている。
周辺は様々なヴォリュームの建築が建ち並ぶ街。その街並に違和感無く馴染ませるため、様々なテクスチャ、 ヴォリュームの組み合わせをし、また、はじめて敷地に訪れた時に浮かんだ踊るクジラ(balena)のイメージを元に、 全体としても大きな統一感のある建築となるよう試みた。
地下1階地上2階建て。上層階に行くにしたがって少しずつ軽さとは異なる胎内を思わせるような浮遊感を感じさせる試みも施され、空間のもつ本質的な心地よさのひとつの解を示している。
建て主からの要望はご主人の趣味である愛車(旧車)のためのインナーガレージと親世帯は明るい室内。 ガレージでは自らも愛車のメンテナンスを行うため、作業のしやすい広さ、収納、素材など心がけた。
親世帯は南側の庭に面して大開口を持つリビング。 バリアフリーの視点から平屋の作りとなり、適度な広さの中で通気性なども考慮したレイアウトとなっている。
子世帯のリビングは2階に位置し、大屋根の大空間の中に各機能をもったスペースを配置した。 まだ小さなお子様たちの子供部屋も将来的にはこの大空間内に設けることができる。
都心に集って住む家族のための住宅。 ゆっくりと大洋を回遊するクジラのように、優しく柔らかな時、空間に包まれるような住まいである。
種別:新築
用途:二世帯住宅
規模:地下1階地上2階
延床面積:154㎡
構造:混構造
所在地:東京
竣工日:2009年
photo:JUN NAKAMICHI