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Lien hair atelier トロッコ一級建築士事務所 商業空間 オフィススペース&店
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2004年に店主が自らデザインし、DIYで作り上げた美容室を開店10周年のタイミングで改装した。10年の間に店は地域に根付き、沢山の顧客に恵まれた。日々の営業の中、店を閉められる日数は限られる。定休日を含めた三日間の休業日で工事を行う必要があった。また、予算的制約とクライアントのものづくりへの関心から、電気工事や溶接など専門性のある部分を除き、店主夫妻と設計者の4名による自力工事で進めることとなった。

 今回の改装で店主から求められた事は、レジカウンターが据え付けられていた窓際を客席に解放し、自然光の中で施術を行えること。全面改修ではない為、既存の空間と折り合いをつけつつ、限られた時間と技術の中で作り上げられる方法を選択し、計画をした。

 南北に細長い形状の店舗には、その奥行と共に明暗のグラデーションがあり、ひとつの空間の中に幾つかの雰囲気を持っていた。その階調を二つに分ける様に、店の入口と対面するかたちで施術室の中央に受付機能を持つヴォリュームを配置した。ふたつに分かれた施術空間には、それぞれの空間の室と呼応する様、異なる設えを与えた。異なるシーンを設ける事で、繰り返し来店する顧客も新鮮な気分を感じる事が出来る。

 新しく設けた南側の室は自然光のたっぷり入る空間。短くはない施術の時間、客が鏡越しに見る事になる壁面を工夫し、リラックス出来る様にしたいと考えた。また質感としては、スチールの鏡枠や手持ちの旧い美容椅子の無骨な雰囲気と合わせて、ざっくりとした風合いを求められた。短い工期で完結できる様、既存壁面を覆う様に、手前にフックを設け、ペイントした布を吊下げた。布の一部はカーテン状になっており、その奥に設けた待合室を区切る役割も担っている。植物や照明などを吊り下げられ、楽しげな感じを作り出している。もう一方の空間、既存の施術スペースは窓辺から奥まった、落ち着いた性質のある空間。軽快な木製の椅子や調度品と調和する様に、既存の建具の表面材質などを整えた。

 新しく設けた箱状のカウンターは地場産のトドマツ製材を挽いたままのラフな表情のまま積層するつくりとした。DIYによる施工精度の誤差を吸収しつつ、陰影を楽しめる凹凸のある積み方は、設えのきっかけとしても役立っている。

クレジット: 撮影:トロッコ
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