コンセプト
この土地は宮城県南部の沿岸部分にあり、東日本大震災による津波被害のあった地域である。この周辺にあった家々は跡形もなく流されたものもあり、ここにあった家も流されている。すぐとなりの地域は今でも建設不可能な地域となっている。それでもこの土地にもう一度戻るため、元あった土地の高さより嵩上げをし、津波対策を施した。
この住宅の建て主はこれから第二の人生を歩もうとするご夫婦で、今回の住宅計画において、自宅でアットホームなお店を開くことが希望であった。この地域の食材を使った料理をふるまい、これから復興する地域の活性化の手助けにと考えていた。
今回の計画において、これから高齢になっていくご夫婦のため、基本的に1階部分で生活とお店の営業をできるような計画として、2階は予備の部屋とした。リビングとダイニングからトイレや浴室廻りなどの水廻りへの表の動線とキッチンから水廻りへの裏の動線をアクセスしやすいように考え、それぞれをつなぐことにより、回遊性を持たせたプランとしている。それにより、生活動線とお店の営業動線の交錯がなくなる。また、使用した素材もアットホームな雰囲気を大切にし、外壁には耐久性を増すために焼いた杉板を貼り、自然な味わいのある外観とした。内装は木、畳などそれぞれの素材を生かすため、使用する箇所を限定しながら計画し、全体的に温かみのある雰囲気にした。
詳細情報
種別:新築
用途:店舗(カフェ)併用住宅
規模:2階建
構造:木造
所在地:宮城県亘理郡亘理町
竣工日:2014年10月
クレジット
藤田渉