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向陽ロッジアハウス, KONNO KONNO 家
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向陽ロッジアハウス, KONNO KONNO 家

1950年代に開発された住宅地における戸建住宅の建て替え。計画では、建主のこの土地で過ごしてきた約60年の経験とこれからの経験が連続するように時を紡ぐこと、生活が内部に完結せず、自然や街の風景と結びつくこと、これらを可能とする建築のあり方を求めた。

周辺の敷地が細分化される中でも当時のまま約45坪の大きさを保つ計画地では、以前の配置をほぼ踏襲して平屋から2階建てにすることで、庭をさらに拡張する建ち方が可能となった。敷地を二分した南に庭、北に建物を配し、その双方をロッジア*と呼ぶ屋根付半屋外空間でつないだ。庭には建て替え前にあったものを含む約20種の樹木を植え、足元を草花と野菜の畑とし、回遊できる道をつくった。長い時間を家で過ごす建主のための畳の間を中心に配した1階は、それを囲んでリビング、キッチン、水回りが連なる。羽目板の壁とタイルの床で緩やかに連続する各室は、異なる天井高やつくり付け家具、それらがつくる空間の向きによって展開し、タイル貼りのロッジアを含めて回遊可能とした。2階は大きな勾配天井をもつ屋根裏のような空間で、寝台や長ベンチ、バルコニーを窓とセットで設え、身体スケールの居場所に窓先に広がる街の風景を取り込んでいる。 敷地中央に位置するロッジアは、この住宅の中で最も大きな気積の室でありながら、特別な機能をもたない。ロッジアの庭側境界は、方杖を兼ねた垂れ壁と腰壁が高さ3.5×幅7mほどのガラスのない巨大なアーチ窓を形成し、草花の香り、鳥や動物、光や影など絶えず変化する外部の環境を取り込んでいる。室内側境界は、すべての室がスケールや機構、設えの異なる窓を伴って一同に介し、人のふるまいを立体的に集めている。 このロッジアでは、街や樹木、太陽の秩序のもつ躍動的なふるまいと人間の生活から溢れる細やかなふるまいがスケールや建築部位の調整により均衡し、心地よい緊張関係を成立させているのである。あらゆる事物を排他し単純化する建築ではなく、人間の生を取り巻く多彩なふるまいやそれが含む時間をも包摂し、それらを緊張関係のうえにひとつの建築としてたち上がらせたい。この住宅は、ロッジアという空っぽの空間を通してそれを実践している。

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4.5

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