小高い丘を切り拓いた街並みの中、大通りから少し見上げたところにある住宅。

老朽化した間知石を撤去して、近隣との関係を土留めで断ち切らないようにしつつ、丘という特性を活かしたいと求められた。

コンパクトな敷地面積と周辺住宅の関係から、内と外とが共有する斜面の庭を軸とした。

玄関まで伸びる外階段は、呼応する斜面の庭が出迎え、四季折々の風景を楽しませてくれる。そして吹き抜けへと枝が伸びていき、２階のリビングへと気配を繋ぐ。来客や出勤、帰宅など様々なシーンで、さりげなく意識を向けられるそんな関係をつくることができた。

南側へ片流れとなっている２階のＬＤＫは、隣地との1.2mの高低差を活かした抜け感のある南側の窓と東の空を切り取る三角窓により、落ちつきのある気持ちのよい空間となる。吹き抜けを挟んで西側にはリビングの様子をうかがうことができる家事室を配置。斜面の庭を通して、家族の気配を感じ、地域へも繋がる一つのかたちとなる。

専用住宅／114.16㎡／木造２階建／愛知県岡崎市／2013.12

庭：Landscape 西村 直樹