北側以外の3方向を隣家に囲まれた、住宅街の一区画に建つ住宅である。
「家族の気配がわかるワンルームのような空間が欲しい」という施主要望に対し
て、6つの帯(おび)を層状に重ねて配置することによって、用途に応じて緩やか
に場が連続する空間を提案した。
これらの帯には、デザインと一体化した開口が開けられており、奥へ奥へと空間
がつながってゆく。
また、この帯は単なる間仕切りとしての役割だけでなく、設備・収納・構造など
の機能も兼ねている。
開口の重なりによって奥まで視線が通ったり、帯にぶつかって視線が途切れたり
と、主体の動きに合わせて空間の奥行きが変化し、建物内部に豊かな風景を生
んでいる。