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Tokyo Cottage, Umbre Architects/アンブレ・アーキテクツ Umbre Architects/アンブレ・アーキテクツ モダンな 家
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Tokyo Cottage, Umbre Architects/アンブレ・アーキテクツ Umbre Architects/アンブレ・アーキテクツ モダンな 家

「建て主の要望とコンセプト」

東京都杉並区宮前という木造2階建ての住宅が多く建つ地域に数件の木賃アパートを所有する建て主は、

長期間空き地となっていた敷地に賃貸アパートを計画しました。建て主はこれまでの賃貸経営で片廊下型

ワンルームアパートが年数とともに空室率が高くなり、賃貸としての価値が低下していくことに問題意識

を持っており、これらの問題を解決できるような木造アパートのデザインを求められました。

私たちの提案では、1つの住戸を2階建ての小さな家とし、6つの小さな家を少しずつずらしながら、ま

た、敷地内に通り抜けのできる路地を確保する様に配置することで、周辺の環境や町並みと連続した住空

間を実現しました。そのことで、一戸建てに住むような専有感や、多方向に開口がある明るく風通しの良

い住環境を実現し、敷地内に確保した街路に住人同士の交流の場を設けることで、「新築」であること以

外の価値を創出し、木造アパートとして価値を持ち続け、永く住まい続けられることを目指しました。

「建築計画の特徴」

多くの木造2階建ての住宅が建っている周辺環境に、大きなワンボリュームの計画とせず、家型の小さな

2階建てをずらしながら配置し、通り抜けの路地を設けることで、周辺の建物と連続しながら、明るく風

通しの良い町並みを実現しました。一般的な木造2階建てワンルームアパートは、片廊下重層タイプが多

く、それらの住戸では、1方向に設けられた開口部のみしか、採光や換気ができないため、暗く、空気の

淀んだ住空間となっています。重層することでの上下間での音の問題も、木造の場合は解決が必要です。

それらの問題に対して、2階建ての「小さな家」として計画された各住戸は、様々な方位に開口部を持ち

、優しい光と心地よい風通しを期待でき、一戸建て住宅に暮らしているような安心感を得ることができま

す。また、通常のワンルームでは、食べる、寝る、くつろぐなどの生活の様々な行為が一室に混在してし

まいますが、2階建ての立体的な緩やかに連続したワンルームでは、各スペースを選択しながら自由に暮

らすことが出来ます。

人々が集まって暮らす集合住宅において、住人同士のコミュニケーションが生まれる余白(通り抜けの路

地)を用意しておくことで、住人一人々々の意識が変化し、ある距離感を持ちながらも共に暮らすことの

楽しさを発見できるのではないかと考えています。このような計画によって、短いサイクルで建替えが行

なわれる木賃アパートにおいて、「新築」であること以外の新しい価値によって、長く快適に住まい続け

れるサスティナブルな木造アパートを実現しています。工法は木造軸組工法で、南西側の2棟と北東側の

4棟を路地上部でエキスパンションジョイントの庇で連結することで1棟の長屋として計画しています。

「環境への配慮」

2階建ての「小さな家」として計画された各住戸は、様々な方位に開口部を持ち、また、階段上部にトッ

プライトを設置することで、優しい光と心地よい風通しを期待できます。日中は照明器具に頼らず、自然

光で暮らすことができ、立体的な空間構成による重力換気や十分な通風により、できるだけ空調設備に頼

らない生活ができる様に計画されています。屋根材は白の遮熱塗料が塗られた鋼板を採用し、最も高い屋

根からの負荷を低減しています。敷地内はできるだけ雨水を浸透させる為に真砂土を使い、まちへの雨水

の出を抑制し、夏場の地表面温度の上昇を抑えています。また、効果的な植栽配置計画によって、住戸間

の視線と日射の調整をしています。

「入居後の暮らし」

入居者は、DINKSの夫婦や男性の単身者、兄弟での二人住まい、学生カップルの同棲など多様です。

本計画の2階建ての立体的なワンルームでは、このように様々な住まい方を許容しているようです。

また、各住人同士が路地を挟んだ窓を通して会話をしたり、路地を使ったバーベキューが企画される等、

住人同士のコミュニケーションも盛んに行なわれている様です。

Photos:Akinobu Kawabe

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