2008年
古い梅の木を残して、小さな家に建替えた計画である。
家族構成は30代の夫婦と子供の3人家族。
小住宅でありながらも将来的には4人家族になる事も視野に入れ計画した。
クライアントの要望はとてもシンプルで、家庭菜園ができる庭とそこに面した縁側のようなスペースがあること、そして薪ストーブがあること。
敷地周辺は札幌市東区の比較的古い町並みで、前面道路も狭く住宅がひしめき合って見通しが悪い。
そのため可能な限り高い位置から室内に心地よい陽の光を取り入れるために、45度の勾配屋根をつくり、そこにいくつかの天窓を設けることでこの形状ができた。
限られたスペースの中では、最大限居室を広くとるためにいくつかの工夫を凝らした。
まず玄関を排除し、縁側から直接薪ストーブのある土間キッチンに入れるようにした。
この部分は冷気の侵入を軽減させる為に、床暖房を敷設している。
2階へ上がる階段も省スペースのために半らせん階段とし、クライアントの要望であった来客用の客間は部屋として設けず、来客のときだけリビングをカーテンで仕切ってスペースを確保できるようにした。
2階はフリースペースとしてピアノを弾いたり読書したり子供が遊ぶスペースとしているが、将来家族が増えたり子供が成長したら子供専用スペースに変わる予定である。
その時ロフトは子供専用ベッドルームとして使用する。
素材に関しては、自然素材や自然食を好む住人のため、できるだけ素朴で素材自体を見せるような使い方を心がけた。
内部の壁・天井にはルナファーザーという紙製クロスをそのまま貼り、床はカラマツフローリングとコンクリート金ゴテ。
どちらも着色せず素材そのものの風合いを生かすため自然系ワックスやクリアの防塵塗装程度にとどめた。
鉄骨階段は黒皮鉄板。
外壁はガルバリウム鋼板素地。
鋭角な断面形状を持つ家でありながら、素材それぞれの必然的な配置によって温かみのある空間が出来たと思う。