敷地は丘陵地で、周囲には隣家の敷地が隣接している住宅地である。唯一東側
がひらけており、そこから丘陵地を見下ろすことができ、すこし先には小高い丘
の緑が見える。敷地の持ち味を生かし、人々が集う場としての空間ができない
ものか思案した。
敷地の高低差
この敷地の特徴である高低差を利用しようと考えた。アプローチはスラブを階段
状に設け、それを内部へ連続させるようにし、室内のフロアレベルは、土間・リビ
ング・ダイニングキッチンの3つに分けた。高低差を吸収する目的のほかに、狭小地
のためLDKをワンルーム空間としたのだが、そのことによる空間や暮らし方の単調
さを軽減させるためでもある。天井の勾配は敷地の傾斜と同一とし、内部から見
下ろす視線が必然的に東側の開口から見える小高い丘へと注がれる。大きく採
られた東側の開口は空の景色を内部へ取り入れている。
土間空間
玄関としての機能だけでなく、公私を隔てるあいまいな空間として土間を設け
た。時間の経過や季節の移ろいを感じられるこの場所は、コミュニティの場とし
て機能し、この住宅において中心的存在と成り得る事を願っている。