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House-O, 株式会社 大藪元宏建築研究所 株式会社 大藪元宏建築研究所 モダンな 家
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■都市のコンテクストを引き込む

敷地は多摩川にほど近く、南側に公道と電車の高架があり、街のアクティビティーと鼓動 が1日の時間と共に移ろいで行く。接道は北側の3mの公道。セットバックの必要があるものの 頻繁に車が通る事もなく、プライベートな屋外空間あるいは、昔ながらの路地裏という風情だった。 東西には住宅が隣接するものの、南北にまったく違った顔を持つ敷地に対し、どう閉じ、 どう開くかは土地の精霊(ゲニウス・ロキ)に導かれる様に自然に決まっていった。 正対する住宅のある北側には閉じ、外部からの視線が動いていく南側に対しては躊躇なく 開くということである。 この建築のプログラムは、プライベートな住宅(自邸)でありながら1階と地下にパブリックな要素を内包している。地下に私のアトリエ、1階に建築のギャラリーと妻のパン工房とカフェとを併せ持つ。路地を通り抜けるような感覚で出入口を2ヶ所設け、南面をガラスのカーテンウォールにすることにより、北側のエントランスから1階に入った来客の視線は、ドライエリアの樹木越しに外部の街並みまで突きぬける仕掛けをつくった。一瞬、そこが内部なのか外部なのか分からなくなるような、曖昧な空間を意図した。すなわち、住宅の一部に都市のコンテクストを引き込む操作を試みたわけである。

■テリトリーを生み出す仕掛け

この建築は大きく3つの要素(アトリエ、パン工房+カフェ、住宅)を内包するが、それぞれのテリトリーは水平・垂直方向共に1階の階段室のスチールシートで覆われたヴォリュームにより生み出されている。この階段室は、独立していながら垂直空間としては地下から3階まで4層を緩やかにつなげる装置でもある。1階から3階までを貫く螺旋階段は頂部のトップライトに向かい上昇してゆき、各室はこの階段室を中心に展開している。構造は、甲殻類のように外周の壁とスラブのみで構成されているので、インフィルの更新は比較的自由である。2人の子供たちが独立していくであろう数年後には、また新たなプログラムがこの建築の中に生れているかもしれない。

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