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小金井の家, 石井秀樹建築設計事務所 石井秀樹建築設計事務所
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小金井の家, 石井秀樹建築設計事務所 石井秀樹建築設計事務所

本計画は間口4メートル、奥行き11.5メートルのウナギの寝床のような細長い14坪にも満たない狭小な敷地での夫婦、子供2人の4人家族のための住宅の計画である。

隣地からの必要な離隔距離を確保すると建物の間口は3メートル程度にしかならない。敷地の外への視線の抜けによる広がりを期待しようにも、北側は4メートルの道路を挟んで、7階建てのマンションの全室の開口がこちらへ向いて建っている。また東、西、南側はそれぞれ隣家が敷地一杯に迫っており、視線の抜けは到底望めない。周囲を建物で囲まれた敷地に残された唯一の抜けは真上の空のみである。この厳しい敷地条件に加えて、予算も厳しく計画延べ床面積を小さくして工事費を抑える必要があった。さらに施主からは必要諸室として主寝室、2つの子供室、さらに家で仕事ができる作業スペースが求められた。限られた延べ床面積の中に要望の必要諸室を確保して、その上で如何に広がりを感じられる空間を創り出せるかが課題であった。

まず法規制から導き出される敷地一杯のボリュームを立ち上げた。これを長手方向に三分割し、その中央部をボイドとしてトップライトを設け、唯一抜けの取れる空に向かって開放した。ボイドはトップライトからの光や風を建物全体に行き渡らせる、いわば都市住宅の中庭として機能する。さらに最大ボリュームを確保しつつも、1/3をボイドとすることで床面積を抑えることができる。ボイドを挟んだ両側には小さく囲った木箱を分散配置した。木箱にはそれぞれ施主が要望する必要諸室や住宅として必要な水回りの機能を割り当てている。あえて小さく囲った空間を木箱として分かり易い“図”とすることで、残された余白をひと繋がりの“地”として認識されることを意図した。木箱と木箱の間の余白がボイドと有機的に繋がって、家全体の余白を“地”として感じることで、常に最大ボリュームの広がりを意識できる空間を創り出した。

PHOTO:K.Torimura

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