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新潟の住宅, Future-scape Architects Future-scape Architects
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新潟の住宅, Future-scape Architects Future-scape Architects

敷地は、広い水田に面している。その恵まれた環境との関係を考えながらつくった住宅である。1階屋に、小さな小屋を3つ載せた構成となっている。

1階は、友人の訪問が多い生活を反映したオープンな場であり、東西に水平に伸びた空間となる。建具を開ければ、ひとつながりとなり、連窓や均質な照度、両端の鏡の効果で、水平性が強調される。人の動きの方向は、風景とつねに平行であり、風景は強く意識されず、さまざまなアクティビテーの背景として、控えめである。 2階の3つの小屋は、プライベートな空間で、自然の中の小さな一軒家のイメージに近い。環境の状況を積極的に摂取している。 各小屋は、東西南北の4方向に開口を持ち、さまざまな方向から光と風が入る。その受容量を上げるため、小屋の間に隙間を設け、相互に位置をずらした。小屋は南北に伸びた形で、1階から90°回転し、北側の水田風景と直に向き合う。そうやって自然を意識させることは、日常から離れた自分だけの世界への手がかりとなる。将来、庭の樹木が育ち、小屋の隙間に梢が侵入するようになれば、自然の中に浮かぶ効果から、その感覚はいっそう高まるはずである。 仕上と風景の現われ方の工夫で、各小屋の自然との距離感を微妙に変えている。西側の小屋は、日常的に使用する寝室という用途にふさわしいシナ合板張りの抑えたつくりである。窓は使い勝手とのバランスで決められ、風景の見え方も素直である。中央の小屋は、光の散乱する溶融亜鉛メッキ鋼板の空間を、こげ茶色の目透し張りの板でくるんだ。小屋の切断面がそのまま額縁となり、景色が矩形に切り取られる。東側の小屋は、鏡や全艶の塗料で仕上げた壁と天井に、ツキ板やじゅうたんといった保守的な材料が混ざり合う。仕上面への映り込みで、室内は風景の反射箱となる。虚像実像の境界が不分明になり、外部が室内に浸透する。壁や天井の遮断感や物質感はぼやけ、室内性を強調した保守的な材料さえ、屋外的な印象に反転する。 外観の色や素材は、周辺の家のコンテクストを反映し、大まかなボリュームは、近隣に合わせている。それにより、街並と連続性を確保しようとした。一方で、その建物の構成は、勾配屋根の近隣からは自立している。街並と連帯しながら、同時に、違和感を感じさせない程度に、かすかに自立的な印象も付与しようとした。

クレジット: Future Scape
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