Moon, FUMIASO ARCHITECT & ASSOCIATES/ 阿曽芙実建築設計事務所 FUMIASO ARCHITECT & ASSOCIATES/ 阿曽芙実建築設計事務所 オリジナルな 家 財産,木,インテリア・デザイン,フィクスチャ,床,フローリング,材料特性,複合材料,広葉樹,天井
Moon, FUMIASO ARCHITECT & ASSOCIATES/ 阿曽芙実建築設計事務所 FUMIASO ARCHITECT & ASSOCIATES/ 阿曽芙実建築設計事務所 オリジナルな 家 財産,木,インテリア・デザイン,フィクスチャ,床,フローリング,材料特性,複合材料,広葉樹,天井

大阪のベットタウンである堺市は閑静な住宅地が広がっている。泉南方面に職場のある妻と大阪市内に職場がある夫との中間地点である堺市で土地探しが始まった。

敷地は40年ほど前に行われたミニ開発によって、袋小路を囲んで120平米ほどの敷地に区分けされ、木造二階建て、前面に駐車場のある家が建ち並んでいる一角にある。袋小路の家々は、屋根や庇、壁の色や形が少しずつ違い、統一された意匠を持っているわけではないが、よくみると同じ時代に同時に建てられたと分かるアイテムが散りばめられていた。工事が始まり、現場に通い始めると特に袋小路を囲むコミュニティーの層の厚さと新しい若い家族への期待が溢れていた。

共働きと鍵っ子という現代社会のよくある核家族の構成。忙しい日々の合間、平日の朝と夕方のひと時、通り過ぎる時間の流れの中にある家族と建築との瞬間瞬間の出会い。それらを考えた時、ある種の名前のない余白の空間を挿入することを考えた。四角いボリュームに差し込まれた一枚の壁。壁が広がり細長い谷間のような隙間を持つことによって生まれた住空間の中の余白。その余白は住居の中の場所と場所をつなぎ、回遊させる。ある場所からある場所へ移動する時、その余白を横切り、通過する。ある場所とは、日常の場所で住宅の中で用途の名前がある。例えば、ダイニングだったり、トイレだったり。その名前のある日常の場所から、名前の無い余白を横切り通過し、また名前のある日常の場所へと移動する。日常と日常の間に日常とは質の違う空間、「非日常の空間」を紛れ込ませることで、同じ距離や時間の移動の経験が膨らみ、また、途切れ、違う経験となる。時空を超えた意味をつくる。それはまた、街と住居の間にあっても同じで、街と住居の間にもその余白は存在する。住居に帰って来ると、まずその余白の空間が家族を迎える。街から帰ると一瞬、リセットされて、余白の空間から住居に入り、日常の住空間へ移動する。

街と住居、住居の中での日常の間にぽっかりと空いた時空間。

日常をひときわ引き立たせてくれる静かで柔らかい優しい空間。現代社会の活動的で雑多な日常と背中合わせになって、より生活者の日常にも心にも余白をもたらせる場所を住居の中に提案した。

photo : kenta hasegawa

クレジット: Kenta Hasegawa
類似する写真

homify - あなたの家を形にします

4.5

homifyアプリで多くの写真をチェックしよう!

無料でアプリをダウンロード
いいえ