●東京都心にある築20年のオフィスビルの7階を、土の空間として半セルフビルドで住居へコンバージョンした建築家 遠野未来の元自宅兼事務所。設計と施工はそこに住みながら行われ、オープンしたあとは居間をフリースペースとしてイベントやセミナーを行うなど、都心のまちづくりの場としても活用された。
つくる過程で土と左官に出会い、それ以降の設計者の仕事の出発点になったが、振り返って一言でいうなら、それは
現代の運動体としての有機的建築 である。
それは単なる素材や形態ではなく、その土地・社会・宇宙の動きの中で成り立つ生命をもった建築である。
そのビジョンの中で土壁の下地に鉄筋を使うなど、伝統と対極にある現代的な空間が目指された。
そのコンセプトと方法論の有効性を今後も各地で展開していきたいと考えている。
■ DATA
所在地: 東京都千代田区神田
主用途: 住居 ・ フリースペース・ 事務所 (現存せず)
床面積: 80.1㎡(24.5坪)、
設計・施工: 直営、 ワークショップを含む半セルフビルド
主な仕上げ
床‐サワラフローリングt=18mm 無塗装
壁・天井‐ 土t=30mm コテムラ仕上げ、一部鉄筋下地・既存デッキプレート表し
大黒柱‐古材丸太もみじ 間接照明‐ 木製梁:鉄骨下地 米松t=21mm 照明組込、
既存ブロック壁穴あけ照明組込
設計・施工期間:1996年6月~2004年
竣工:2004年