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birdhouse, Katsuhiro Miyamoto & Associates: Katsuhiro Miyamoto & Associatesが手掛けた折衷的なです。,オリジナル
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birdhouse, Katsuhiro Miyamoto & Associates: Katsuhiro Miyamoto & Associatesが手掛けた折衷的なです。,オリジナル

土建の狭間の愉楽

 インフラ=土木、インフィル=建築という棲み分けそのものが間違っている訳ではない。ただ、原理的には両者の境界は自由に設定が可能なはずである。にもかかわらず、例えば急斜面に建築を建てようとする場合、当たり前にはまず「土木」で擁壁をつくって雛壇状に造成を施し、その後で改めて「建築」を建ち上げる。生産という現場においてだけではなく、法律や管理などいずれの局面においても当然のように土木と建築は分離して考えられてきた。

 確かに、斜面という剥き出しの「自然」に建築を直に着地させることは難しい。そこで「土木」が登場してくる。つまり建築との関係において土木とは、建築と自然を橋渡しする役割を担っている。としたとき、必ずしも擁壁といった大げさなものではなく、もう少しエレガントに、ちょうど土木と建築の中間くらいの構造物で建築と自然をソフトに馴染ませる方法はないものだろうか。つまり軽インフラとしての土木の可能性である。

 30度超の急傾斜に建つ「bird house」のかき揚げないしはスカンピ(手長エビの一種)のように引っ掛かりの多い基礎は、その軽インフラとしての土木の可能性についてスタディした結果である。斜面を崩すのではなくむしろスパイクのように斜面をとらえ、その上に安定的に建築を建てることを保証するもの。方法はどうあれ、建築との関係において本来必要とされる土木の役割を果たしている。

 そして、地表を二足歩行する人類が、急斜面を手なずける方法が1つ存在する。トラヴァースである。それは元々、斜面を横切るように登行することを意味する登山の用語である。スキーの斜滑降や斜登行も同様の概念に基づく技術である。「bird house」においても、上下二面で接道するという敷地特性を利用して、まずは2つの前面道路を結んで登山道のようなつづら折れのアプローチ動線をつくった。建築工事に先んじて、敷地をバリアフリー化し、工事用の搬入路をも提供する。まさにインフラである。そして、つづら折れのヘアピンカーブにできた踊場3ヶ所が「敷地」として発見された。

 「bird house」というニックネームは、樹木の枝振りのようなRC基礎の上に、白くて可愛らしい住宅3棟がちょんと巣掛けられた状態をイメージしてつけたものである。

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