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D-APARTMENT(CASA Kojiro), SPACESPACE SPACESPACE 家
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D-APARTMENT(CASA Kojiro), SPACESPACE SPACESPACE 家

なめらかな配置

駅前に建つ、住宅ともビルとも呼べないスケールの集合住宅である。敷地は、樹齢700年のクスノキがホームと屋根を突き抜けた駅の西側に位置している。ロータリーが整備された割に閑散とした東口に比べ、西口は駐輪場や神社、高架下の商店、小さな屋台のような店舗、クスノキや桜などの街路樹、水路が混在し、地域住民が多く行き交うにぎやかな場所である。

余りに多くの環境に囲われた敷地(形状は5角形)ではあるが、大きなスキームとして、1階店舗が面する西側の道路と敷地北側に長く見える駅の高架、南側の太陽という環境に各々対応しつつも、それらをなめらかに繋ぐような建物を作れないかと考えた。

住戸の形と環境

30㎡程度の単身者用集合住宅は、通常1住戸4m×8m程の平面に水廻りや廊下と8~10畳ほどのリビングが詰め込まれ、住戸バリエーションはキッチンの配置や内装の配色変更で作られる。

1住戸を2m×16mの平面にすると、片方にだけは「広い」通路のような部屋のような空間を作ることが出来る。16mの奥には寝室や水廻りが配置されるが、プランニングにより壁を立てるのではなく、奥が見えなくなるような形に折り曲げることでプライバシーが生み出される。

このような住戸を、1フロアに2戸×3層積み上げた2m巾からなる壁のようなボリュームを敷地境界線に沿って配置し、屋外階段の取付き(階段の取付いた箇所から半分が1住戸)を調整することで、住戸の形と環境の取込による住戸バリエーションを作り出した。この過程で出来た中庭と階段は、隣地に挟まれた従来の屋外階段のあり方と比べて、随分と快適で親密な場所となった。開口部は2m巾のボリュームを貫通するよう1対でとり、中庭の通風と採光を建物越に確保する計画とした。

間取り的想像力

多くの人が何度か経験している「部屋探し」、そこで見る「間取り」はとても多様である。異様に大きなバルコニーが付いていたり、部屋が異常に入り組んでいたり、極端に細長かったり。このような賃貸アパート特有の面白さは、建築デザインにとって、これまでは見出される対象でしかなかった。

この計画で試みたのは、賃貸アパートで発見された「間取り的想像力」を設計の方法論に取り込むことであった。新しい集合住宅を作る可能性は、既に都市に溢れているはずである。

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