北海道,十勝地方.
札幌市の十分の一ほどの人口を擁する帯広市の,とある住宅地.
深閑とした木立の中ではなく,喧噪の都市の住宅地でのヴィラの在り方についての二度目の考察.
要求される4つの機能を4辺に配すことで大きなコートを内包する,明快でシンプルな全体構成. カーテンを開け放して生活できるヴィラならではの贅沢は,住宅地という立地を理由に切り捨てるものではない. ひと足ごとに目に入る景色は変化し,移り変わるビスタを楽しみながらの最奥には,限られたビジターのためだけに用意された幽艶な奥の間とその空間のためだけに設えられた坪庭.
はたして,建築的な構成の妙に頼るのみで都市的ヴィラへの解は満足されるのであろうか.
森のヴィラなら,躊躇なく森の素材でつくればよい. 都市のヴィラのあるべき表層表現とは,行き着く先とは. 商業建築と住宅との境界とは.