敷地は1970年代に造成された住宅地に位置する。開発前の長閑な里山の景色は想像することすら難しい。また近年は地下鉄の延伸、高速道路の開通が相次ぎ、再び大きな変化の波が押し寄せている。
そのように変わり続ける周辺の景色の中で、普遍的な美しさや時代に流されない力強さを兼ね備えた建築を目指した。
施主からの第一の要望は「美術館の様な住宅」であった。ゆとりある敷地にたいして、杉板打ち放しコンクリートのガレージを手前に配置し、フロストガラスのスクリーンの背後に白いキューブを並べ、住まいである事を連想される要素を排除したミニマルなデザインによって、この目的は実現できたと思う。