533HOUSEの上二桁の53は施主の姓である五味からとっている。下一桁の3はSUN=太陽からとった。
施主の明るい人柄と、計画の中心となった太陽とを結びつける名称とした。敷地は長野県の諏訪市に位置し、近くには御柱祭りで有名な諏訪大社が鎮座する。
冬はマイナス10度を下回る日がある寒冷な地である為、冬場の暖房費を可能な限り下げる建物をつくることが主題となった。冬においては太陽の熱を積極的に
利用出来る様、
ガラス面を北側に傾斜させ部屋の奥まで太陽の光が届く様にした。また、取り入れた太陽熱が蓄熱するように、床をコンクリートで仕上げている。リビングの床
には暖房用の温水管も埋設しているが、
太陽からの熱とコンクリートの蓄熱効果が相まって、実際の稼働は午前4時から6時、午後6時から8時のそれぞれ約2時間のみで、約30坪の空間全体の暖房
をまかなうことができている。
夏期は、この傾斜が南側からの涼風を受け流し、小部屋に取り付けられたウィンドキャッチャーの機能を持つ押し出し窓よって室内に導かれ、北側の高窓から吐
出される。
特に日差しの強い日は、日除けのために窓面にタープを架けることができる。玄関からキッチンを通って庭へと張り出したテラスは、家事動線を短縮し、内部と
外部を連続的に繋げる役目を果たす。
また、このテラスは7年に一度の御柱祭りにおいて、人が集まる「場」として使われることだろう。この地に通いながら、体で感じた地域の風土と風習に導かれ
た家である。