国土交通省によると、築30年を超える分譲集合住宅は現在129万戸だが、30年後には447万戸まで増加すると予測されている。建物とともに入居者も高齢化し、修繕積立金などの理由から改修や建て替えに踏み切れないケースが今後増加していくと思われる。都市部を中心に空室化やスラム化が進む恐れもある。集合住宅において同じ世代が偏り、入居者の高齢化、建物自体の老朽化は、切っても切り離せない問題である。

今回「単身世帯には広すぎる」「ファミリー世帯には狭すぎる」理由から不動産業界では扱いにくい40㎡を「ワンルーム化、引き戸による開閉、重層的な利用方法」という建築的な工夫、そして「狭くても良い、期間限定で住まう」という手段を取ることで、子育て世代だからこそ魅力的な住まいにできると考えた。

賃貸並みの金額で新築住宅並みの住宅ができることが広まれば、集合住宅の部屋が更新され、「集合住宅の世代間ミックス」の手がかりになると期待できる。所有者が若い世代へ新陳代謝することは、建物の維持管理の面からも有効である。 

現在、リノベーションの多くは専有部分内の「個々のデザイン」だが、建物本体の維持管理の視点も持った「個々のデザイン」が今後のストック活用には必要と考える。

子どもが中学生になるまでの10年間という限定的な期間の住まいである。子ども部屋がなくてもよいので、小さな物件を選択した。築年数と小振りな面積があいまって、物件費が低く抑えられ、その分を建築工事費に充てることが出来た。住まい手の要望である窓辺にゆったりとした浴室とキッチンのある大きなワンルームとしている。浴室は、利用時に建具を閉めてプライバシーと防水性を確保。普段は主室の延長としている。建具の開閉により部屋の利用形態を変化させ、面積を有効活用。床は耐水性のあるチーク材とし、全体的な素材の統一を行い広さ感を生み出している。今後増えるストック活用を考えると、様々なライフステージに応じた「気軽な」住宅が増えても良いのではないかと思う。

主要用途:専用住宅

工事種別:全面改修

床面積:41.01㎡

設計期間:2012年8月~2012年9月

工事期間:2012年10月~2012年11月

協力:照明計画 コモレビデザイン、植栽 GAヤマザキ

施工:伸栄

写真:鳥村鋼一写真事務所

クレジット: 鳥村鋼一写真事務所
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