三国の雄島の陸地側である安島は3方を海に囲まれた場所。沿岸の旧集落では建替えが困難な為、すぐ近くの森林地域を切り開き、地域住民の為の住宅団地が整備されています。その新しい集落の中の約半分の土地には既に住宅が建っており、その景色は旧集落の面影を残さず、どこにでもある郊外の新興住宅と同じ様相を示してきているが、施主と当事務所が求めたのは、旧集落の建築が持つ伝統的な要素でした。
景観をつくる外部構成は、この地の潮風に対抗する為、地域の伝統的建築に習って屋根は瓦。外壁はサワラ板。そして、庭と近い内部空間、自然の風を感じながら生活したいとの御要望に対して、内部は大きな空間を確保するのではなく、小さな部屋の集積とその連続性の確保をしています。4つの木箱(機能が固定化された部屋)を半外部的空間(廊下や土間的空間といった余白)でつなげることで、庭との連携や四方の通風の確保し、部屋の拡張性を実現しています。